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「あー、きたか」藤井聡太二冠との初対局を前に 48歳中堅棋士が語った“義務意識”「恥ずかしくない将棋を…」
text by
小島渉Wataru Kojima
photograph byImai Tomosuke/BUNGEISHUNJU
posted2021/02/08 17:01
2月9日のB級2組順位戦で対局する窪田義行七段と藤井聡太二冠
窪田 対局グッズに変化はありますが、年を追う毎に増えており、老化傾向にも対応しています。対局用クッションは2種類持っていますが、正座用の座布(サポートクッション)だけで充分です。大きいので持っていくのは大変ですが、腰の負担が軽いです。もうひとつはクロワッサンのような形をしていて、股に挟んで使います。普通に座るよりも上半身の体重が下半身に分散して楽ですが、整体師から「ガニ股になってよくない」とアドバイスを受けたので、最近は使っていません。
――連盟にも座布団は用意してありますが、そもそもなんで持ち込もうと思ったんですか。
窪田 10年前ぐらいでしょうか、ほかの棋士がクッションを使ったという記事を拝見したのがきっかけです。日本囲碁界だと座椅子を使うそうですね。
――コロナ禍になる前から空気清浄機を持参されていますよね。きっかけは何ですか。
窪田 これも10年ぐらい前に、若手の阿部健治郎七段が「対局室の空気はあまりよくないんじゃないか」と話していたのを聞いたからです。
――いまはコロナ対策で換気に気を付けているとはいえ、以前の対局室は熱気がこもりやすかったですよね。
窪田 私が持参しているのは、車用の空気清浄機です。静音タイプで、袋をかぶせればさらに音を遮断できます。モバイルバッテリーも必須です。
パルスオキシメータも使うんですか?
――今日は対局グッズを色々と持ってきていただきました。パルスオキシメータ(指先に当てて、動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定する機械)と体温計も使うんですか。
窪田 自分の状況を客観的に見ることができますからね。体温計はたまにです。パルスオキシメータを購入したのは、2018年にドワンゴさんの峰王戦で将棊頭山(中央アルプスにあり、標高2730m)に登ったのがきっかけです。対局中に脈拍も変動するので、酸素飽和度の数値を見れば状況が分かります。
――酸素缶は?
窪田 登山に持参しているものです。対局でもしんどくなる前に先手を打つために使いますけど、これはかなり音がしますので、対局室の外で迷惑がかからないように気を付けています。使えばなんとなく冴えた感じがしますけど、まあ気休めですねぇ。
「居飛車穴熊を相手にすることもありますから(笑)」
――お守りに熊鈴がありますね。