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「あー、きたか」藤井聡太二冠との初対局を前に 48歳中堅棋士が語った“義務意識”「恥ずかしくない将棋を…」
text by
小島渉Wataru Kojima
photograph byImai Tomosuke/BUNGEISHUNJU
posted2021/02/08 17:01
2月9日のB級2組順位戦で対局する窪田義行七段と藤井聡太二冠
窪田 振り飛車党の天敵、居飛車穴熊を相手にすることもありますから(笑)。音が鳴らないようにちゃんとしまっています。ほかにも身内やファンの方からいただいたお守りや窪田家の家紋、鳩森神社で拾った榧(カヤ、将棋盤の材料)の実などを持っていきます。まあ正直、気休めですね。ゲン担ぎという程ではありません。
――扇子や目薬は、ほかの棋士もよく持ってきていますね。
窪田 今日の扇子は師匠の花村元司九段、佐藤康光九段のものです。日常品の小物も多いですね。最近はコロナ禍でマスクをつけるものですから、ヒノキの精油をたまにマスクに振りかけて気分転換しています。
――以前、スズメ蜂ウォーター(スズメバチの蜂蜜漬けをドリンクにしたもの)や甘酒を拝見しました。対局中のお菓子や飲み物も気をつけているんでしょうか。
窪田 普通にスーパーや自然食品店で買ったもので、お菓子はチョコやグミ、乾燥果実などです。登山の行動食に使えるような、手が汚れずにポロポロと崩れないものが多いでしょうか。まあ適当ですけど、対局には少しプレミアム感があるものを選ぶようにしています。スズメ蜂ウォーターを飲んでいたのは、栄養ドリンクよりも非日常感があるじゃないですか。最近はトマト甘酒が好みでして、炭酸水で割って飲むことが多いです。
――以前はお酢を持参していましたよね。
窪田 もう最近は持っていかないですね。家で飲めばいいかと気づいたので(笑)。
――食事はどうですか。
窪田 ここ数年は朝にカレー、夜は中華料理が多いです。お昼は抜いてカロリーメイトにしています。しっかり昼食をとると眠くなり、カフェインで押さえ込もうとしても限界があるからです。お昼をしっかり食べないと戦えないという固定観念をなかなか捨てられなかったですね。お菓子を食べるのはしっかり噛んで眠気を払う意味もあって、グミなら咀嚼回数を稼げます。ま、食べたいものを食べるだけなので適当なんですが(笑)。
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