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「あー、きたか」藤井聡太二冠との初対局を前に 48歳中堅棋士が語った“義務意識”「恥ずかしくない将棋を…」

posted2021/02/08 17:01

 
「あー、きたか」藤井聡太二冠との初対局を前に 48歳中堅棋士が語った“義務意識”「恥ずかしくない将棋を…」<Number Web> photograph by Imai Tomosuke/BUNGEISHUNJU

2月9日のB級2組順位戦で対局する窪田義行七段と藤井聡太二冠

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小島渉

小島渉Wataru Kojima

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Imai Tomosuke/BUNGEISHUNJU

 順位戦が大詰めを迎えている。5つあるクラスのうち、藤井聡太二冠が所属するのは上から3つめのB級2組。8連勝とトップを走り、残る2戦のうち1勝すれば、「鬼の住処」と称されるB級1組に昇級する。

 B級2組は実力派の中堅がそろう。藤井二冠がラス前に対戦する相手は、窪田義行七段。48歳の個性的な振り飛車党で、対局に自前の空気清浄機を持ち込むなど入念に準備する棋士としても知られる。B級2組に12期在籍し、これまでも最有力昇級候補のタイトル保持者をくだしてきた。

 現在、窪田七段は4勝4敗。残る2戦を連勝すれば規定により降級点を消すことができるが、連敗すると2つめの降級点がついてC級1組に陥落しかねない。10代の覇者に挑む中堅棋士の意気込みを聞いてみた。(全2回の前編/後編へ)

◆◆◆

「あー、きたか」

――藤井聡太二冠とは初対戦です。順位戦の開幕は6月で、春にリーグ表が送られてきます。藤井聡太二冠(当時は七段)と当たっているのを知ったとき、率直にどう思いましたか。

窪田義行七段(以下、窪田) 「あー、きたか」と感じました。義務意識が目覚めましたね。

――義務意識、ですか?

窪田 責任感ともいえます。将棋界の話題になる対局で、その勝敗は将棋史に残る棋士の歩みに影響します。それに関与できるのは権利意識、つまりどう挑んで結果を呼び込むかは自分次第ですけど、恥ずかしくない将棋を指さないといけない義務意識があります。

――これまでの順位戦でもタイトルホルダーと対戦し、当時の渡辺明竜王や糸谷哲郎竜王を負かしてきました。それと比べて、藤井戦はどうでしょうか。

窪田 若きタイトルホルダーだから頑張ろうという気持ちは同じですが、今回は動画中継やネット記事、SNSもあって反響とそれへの意識が違います。

藤井二冠が8連勝するのは予想していましたか?

――藤井二冠と年が近い若手なら、ライバル意識でメラメラと闘志を燃やすかもしれません。窪田七段の義務意識というのは、中堅ならではですね。

【次ページ】 対局用クッション2種類、車用の空気清浄機……

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