バスケットボールPRESSBACK NUMBER
西の雄・琉球ゴールデンキングスに訪れた“我慢の時” 藤田HCが語る打開のためのチームの原点とは
text by
カワサキマサシMasashi Kawasaki
photograph byB.LEAGUE
posted2021/01/30 11:00
昨シーズンのリバウンド王・ジャック・クーリーは、今季も1試合平均12.4リバウンド(1月27日現在)でリーグ首位を独走中
一方オフェンス面ではこれまで並里成、岸本隆一のガードコンビがボールの運び役を担っていたが、今季は彼ら以外の選手もボールを手に前線に進む。攻撃は組み立ての段階から、多彩なパターンを得るようになった。
「並里、岸本のポイントガードは、プレーメイク能力が素晴らしいです。とはいえ彼らだけに頼っていては、僕たちが目標としている次のステップに進めないと思う。そういった面では2番、3番ポジションの選手、田代直希や今村、船生らがアグレッシブにアタックすることで、相手は的が絞り辛くなるでしょう。外国籍選手もジャック・クーリーだけに頼るのではなく、たとえばエバンスがペイントに入ってボールを散らす。そうして的を絞れなくなったら、キングスのオフェンスは、相手にとって止め辛いと思っています」
課題は東地区上位チームとの力量差
最近繰り返している1勝1敗のなかにはアルバルク東京、川崎ブレイブサンダース、千葉ジェッツと実績ある東地区のクラブとの対戦が含まれるほか、シーズン序盤には昨季の中地区優勝チームである川崎からアウェーで連勝を奪った。調子が万全でない状態であっても、東の強者と伍する力をつけてきていることも、事実である。
「(東地区上位勢との力量差に)自信がないとは言いたくないですが、まだまだだと思っています。12月のA東京戦は1試合目に勝ちましたが、2試合目は相手の気迫に圧倒されて31点差で負けました。ゲームにならない内容、しかもホームで。そういう試合をしてしまうので、今はまだそのレベルには達していないと思います。コーチ陣、選手全員、スタッフも含めてもっとハードワークして、危機感を持ってひとつひとつ仕事をしていくことが大事」
琉球のこれまで最高の成績は2017-18、2018-19シーズンでのチャンピオンシップ・セミファイナル進出。言葉には表さないが当然、今季に目指すところは西地区優勝などではなく、過去の自分たちを超えていくことに違いない。だが指揮官の目は、一足飛びに先を見てはいない。
「まずは、目の前の試合です。自分たちが目指しているものに、どれだけ近づけるかを毎試合やっていきたい。そして次の相手に対して、自分たちらしいバスケットができるようにする。その結果、いろんな数字の目標を達成できれば。とにかく、目の前の試合だけに集中していきます」
藤田HCはことあるごとに、自分たちはチャレンジャーであると繰り返す。敗戦は成長するためのラーニングポイントと、真正面から受け止める。そして強調すべきは、ハードワークであるとも。シーズンはちょうど、折り返し点を過ぎたあたり。驕りなき西の強豪がいかに現状を脱し、どこまでの高みに上るか。後半戦の注目ポイントのひとつとして、捉えておきたい。