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IOCバッハ会長が東京五輪「無観客開催」に言及、日本の責任者の対応は? 試金石は3月4日の国際大会か
posted2021/01/23 17:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
東京五輪・パラリンピックの開催を巡り、再び関心が集まっている。
新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、さまざまな側面から懸念する声が強まっているからだ。現在でも医療の環境が大きな課題とされているのに、大会期間中、5000人が必要とされる医療従事者は確保できるのか、ボランティアはどうか……。
何よりも、オリンピック、パラリンピックとなれば、多くの選手やコーチ、代表選手団や関係者が来日し、観客も訪れる。
そこに感染が再び拡がるリスクがあるし、そもそも世界中に感染が蔓延する中、満足に練習できない選手も多く代表を決めるのもままならない中での開催を憂う声もある。
たくさんの懸念は、すでにあちこちから上がっているし、メディアでも取り上げられるようになってきた。
となると、当然、大会の中止、あるいは開催するにしても無観客での実施を求める意見も昨年来、たびたび出てきた。
無観客での実施も考えることはないという姿勢
新春、大会の組織委員会は、観客の上限をどうするのかについては3月ないしは4月に決定する趣旨を出している。ただ、無観客での実施は想定していないとした。
1月18日には第204通常国会が召集され、菅義偉首相が施政方針演説を行なったが、「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会」にすると表明。「世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進めてまいります」と述べた。
さらに1月21日には、ロイターとのインタビューで、組織委員会の武藤敏郎事務総長が「延期が具体的な検討課題になったことはない。中止もそうだが、延期もない。7月にやることは1年前に決めてずっと準備をしてきた」と語っている。
それらの発言、表明にうかがえるのは、中止の可能性を想定していないこと、開催にあたって少なくとも無観客での実施も考えることはないという姿勢だ。