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IOCバッハ会長が東京五輪「無観客開催」に言及、日本の責任者の対応は? 試金石は3月4日の国際大会か
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2021/01/23 17:03
昨年11月、国立競技場を視察したバッハ会長
優れた選手や指導者は、修正力もまた、優れている
スポーツでは、トップアスリートであれば、度合いは異なっても、リスクを考慮して取り組んでいる姿を見る。
目標に向けて、長期計画を立てる。ただその中でも怪我することもあれば、計画通りに強化が進まないこともある。その場合、次のプランに切り替える必要が出てくる。
また、ライバル選手(チーム)の動向であったり、競技そのものの状況を見渡しつつ、判断していく。
選手ばかりではない、指導者もそうだ。いくら戦略を思い描いても、チーム競技ならレギュラーが欠けてその通りにいかないことがあるし、強化がうまくいかないことも珍しくない。当初思い描いたところから修正を迫られる。
優れた選手や指導者は、修正力もまた、優れている。うまくいかなかったときも想定できるからだ。数名のアスリートが大会の行方、中止になった場合にも踏み込んで話している。話しにくい空気があるからか、口に出すことこそしてはいないが、少なくない選手が中止になった場合も想像しているはずだ。
それからすると、大会に対して責任ある人々のあり方はあまりにも対照的に思える。スポーツのイベントであるからなおさらだ。
3月25日には聖火リレーが始まるが……
3月25日には聖火リレーが始まる。その前が開催の可否のタイミングと言われることがあるが、それよりも前に、テスト大会が再開される。
テスト大会は、本大会の運営面のチェックなどを兼ねて、必ず実施されるものだ。これまで各競技のテスト大会が実施されてきたが中断。3月以降に延期されていた。
テスト大会の名前の通り、本大会へのテストとして行なわれるものがある一方で、重要性を秘める大会もある。
例えば、再開後の最初に予定されるテスト大会は「FINAアーティスティックスイミング オリンピック競技大会 予選トーナメント2021」。3月4日に始まるが、大会名の通り、すでに出場権を持っている国以外が五輪出場権をかけて競う国際大会だ。
そのとき、状況はどうなっているのか——この大会は試金石と言える。