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「3年て早いなあ」ダルビッシュ有がパドレス移籍決定までを自ら“実況中継”したのはなぜか?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2020/12/31 11:10
ダルビッシュ有投手がパドレスにトレードで移籍することが正式発表された
たとえばレッズからフリーエージェント(FA)になった今季のナ・リーグのサイ・ヤング賞投手トレバー・バウアー投手などは「ライブ」感覚を大事にしており、新しい移籍先が決まれば、球団が用意した記者会見とは別の場所でファンと触れ合うのではないかと期待している。SNSということであれば、日本人選手でもツインズの前田健太投手や田中将大投手(ヤンキースからFA)などがすでに自らのプラットフォームでファンと交流しているし、そういう選手は今後も増えてくるだろう。
SNSを駆使する選手の共通点は、ファンの方々と同じ目線で話していることだと思う。前出の選手たちのSNSでは発信者である選手と受信者であるファンがある種のリスペクトを共有しながら交流しているように感じられる。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオンライン会見が主流になった今年は、選手にとってはSNSで情報を発信する絶好のチャンスだった。
選手が発言するようになれば、メディアは……?
選手全員がSNSで自由自在に情報を発信するようになれば、メディアなんて必要ないんじゃないかと思うが、実際、旧来のメディアではテレビの視聴者数や新聞、雑誌の購読者数が落ちたと言われているので当然、危機感もある。
かつてメディアはファンを代弁する形でチームや選手を見守っているというようなことを言われていた。
たとえばMLBにおけるパフォーマンス向上薬品の使用を暴露したのはメディアだし、アストロズのサイン盗みを暴いたのもメディアの力が少なからず作用している。だが、そういった記事が作られるニュース源が選手や関係者の「内部告発」だったことを考えれば、SNSのさらなる発展でいずれはメディアを通さず、彼ら自身の発信により、「球界の浄化」が行われるようになるかも知れない。
もちろん、「ダルビッシュ投手のトレードは、緊縮財政になってカブスがチーム解体から再建に乗り出した証」というような堅苦しい話は、SNSで選手が語るようなことじゃないだろうし、第三者が説明した方がすっきりはする。