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「3年て早いなあ」ダルビッシュ有がパドレス移籍決定までを自ら“実況中継”したのはなぜか?
posted2020/12/31 11:10
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
オモシロイ世の中になったものだ。
TwitterにInstagram、NOWVOICEにStand.fm(エフエム)、そしてYouTube……。プロのアスリートがいつでも、どこでも、活字や写真や音声や動画を自由自在に使って、自ら情報を発信できるプラットフォームが幾つもある時代である。
パドレストレード移籍の裏側を自ら語った
ダルビッシュ有投手がカブスからパドレスにトレードされた時、我々は全員、そういったSNSで報道を知り、本人の声を聞いた。
「マジであんの? 今日? 急すぎるやろ」
トレードが決まる前日の現地12月28日月曜日の午後、彼自身がStand.fm(ラジオアプリ)のライブ配信で、当時はまだ「進行中」に過ぎなかったトレードの裏側について、選手目線で語った。
ファンに向けて自分の伝えたいことを話しながら、ファンからのメッセージをチェックし、ゲームをやり、おまけに自分についての現地アメリカのスクープ報道やツイッターをチェックしながらの生配信だ。次から次へと飛び込んでくる情報に、丁寧に反応しているのがとても生々しかった。
彼は元々、ファンはもちろんアンチの人々ともツイッターで直接やり取りしたり、新聞や雑誌では伝えきれないような量の情報をYouTubeで自ら発信したり、こちらの想像をどんどん超えてしまう人である。インターネットを利用したラジオという「新しくて古い形態」で、トレードの舞台裏や選手の心情を率直に伝える声に耳を傾けていると、まるでラジオの深夜番組を聞いているような気分になり、懐かしくもあった。
翌日29日の同ライブでは「決まるとしたら今日か明日」と生々しく言い、「(カブスでの)3年て早いなぁって思う。(中略)春キャンプでまた皆に会うのを楽しみにしていたし、こういう形で(チームを)離れるのは寂しい」とトレードが決定的だったことを感じさせた。
正式決定したのはその日の午後。今度はラジオではなく、音声アプリNOWVOICEで本人がトレード報告するなどしたため、「史上初(?)のSNSによるトレード決定までのリレー式実況中継」となった。
選手が「自身の移籍や契約について話す」ことは増える
こういうことは、これからも起きる可能性がある。