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水谷隼が「日本製の台じゃなければ、絶対にこのメダルはあり得なかった」と語る“96万円の卓球台”の秘密

posted2021/04/18 11:00

 
水谷隼が「日本製の台じゃなければ、絶対にこのメダルはあり得なかった」と語る“96万円の卓球台”の秘密<Number Web> photograph by AFLO

Tリーグの卓球台「960,000円」

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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AFLO

 ネクラと揶揄されたのも遠い昔。卓球は近年、子どもたちの間で大人気だ。令和元年度の中学卓球部員数は、部活動全体で男女とも4位。少子化でも増えているというから驚く。

 その勢いはとどまるところを知らず、2年前にはTリーグが開幕。天板のレジュブルーと脚部の蛍光イエローが鮮やかな、Tリーグ仕様の「Show-Court TABLE」は96万円(税別)。アメリカのIT企業では、オフィスに卓球台を置くことがステイタスになっているが、日本の経営者のみなさんもいかがでしょうか。

 卓球台といえば2016年リオ五輪の銅メダリスト、水谷隼の言葉が思い出深い。

「日本製の台じゃなければ、絶対にこのメダルはあり得なかったと思います」

 いったい、どういうことか。

「Show-Court TABLE」を製造し、リオ五輪の台のメーカーでもある株式会社三英の栗本典之経営企画室顧問が語る。

「卓球台にはITTF(国際卓球連盟)が定める規格がありますが、それでもメーカーによって特徴や質にかなりの差が出ます」

台の“粗”を突くことが、勝利への近道?

 例えばITTFの認定を受けるには、「バウンド試験」に合格しなければならない。これは300mmの高さからボールを自然落下させ、1回目のバウンドが230mmから260mmの範囲に戻らなければならないというルール。この試験を半面19カ所で3度ずつ計57回行ない、平均値が左右の天板で誤差1mm未満に収まって、やっと合格。き、きびしい……。

「そう思われるでしょう。でも、30mmの余白が許されているとも言えます。実際にメーカーによっては、ひとつの台で弾む場所、弾まない場所のばらつきが出てくるわけです」

 栗本さんによるとトッププロの感覚は常人離れしていて、ハイレベルな大会では「あそこの台の、あの部分は球が不規則に弾む」といった情報が流れ、実際に狙ってポイントにする選手もいるという。また、四隅のラインのわずかな段差を狙うのも常套手段。台の“粗”を突くことが、勝利への近道なのだ。

 木製である卓球台はふたつと同じものがなく、気温や湿度によって微妙に変化する。だが三英の台は均質性が極めて高く、イレギュラーはまず起こらない。ラインの段差も、世界唯一の印刷工法によって解消。つまり余計な心配をせず、実力を出し切れる台なのだ。

 そう、水谷の言葉はリップサービスではない。リオにおける日本卓球の輝きは、技術の粋が凝縮された台あってこそだった。

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