大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
「生理痛や生理不順を放っておいたまま……」大山加奈が10代の選手に伝えたい“自分の身体を知ること”
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2020/12/14 17:00
自らの経験をもとに、自分の身体を知ることの大切さを訴えた大山加奈。ユース年代の教育は改めて見直す課題の1つである
足裏へ強い衝撃がかかるバレーボール
もともとバレーボール選手は、着地の際に足裏へ強い衝撃がかかるため、他競技に比べて貧血が多いと言われています。私の高校時代のチームメイトにも貧血で、体力がないため長距離走が苦手な選手がいました。
下北沢成徳高の小川良樹先生は彼女が貧血であることを理解し、どんな症状が出るかをわかっていたので、どれだけ走るのが遅くても咎めたことはありません。むしろ体調を気遣いながら、できない練習には積極的に参加させることもありませんでした。加えて、チームに専属のトレーナーさんがおり、私たちは恵まれた環境にありました。
ただし、残念ながらすべての指導者が小川先生のように理解があるわけではなく「長距離走が遅い」ということだけに目を向け「何でもっと速く走らないんだ」と叱る方も中にはいるでしょう。普段から体調を崩すほどの貧血であることに加え、生理時は出血もある。さらに体調が悪化する中、無理矢理練習をこなさなければならないと頑張れば、しなくてもいいケガや体調不良につながることもあります。
そこで大切なのが、選手と指導者がいかに深くコミュニケーションを取れるか、ということではないでしょうか。生理痛や生理の周期は人それぞれ異なるので、「生理痛がひどい」とわかっている選手は事前に指導者へ伝えられるような環境が必要です。
生理のことを気軽に話せる環境がない
とはいえ中学や高校の指導現場は、まだまだ女性よりも男性指導者が多く、選手からすれば生理のことを気軽に話せる環境ではないかもしれません。それならば養護教諭と連携を取りながら、養護教育としてきちんと取り組むことも必要なのではないでしょうか。
生理痛や生理不順に対する正しい知識を得ることはもちろんですが、たとえば生理用品の選び方や、使い方も同様です。バレーボールのユニフォームは動きやすさを求め、身体にフィットするものが多いので生理用ナプキンの使用をためらい、タンポンを使っている選手も少なくありませんでしたが、長時間トイレに行けない時の衛生面など、不安なことも多かった。
私が小学生の頃はユニフォームがブルマだったので、初潮が早かった子はブルマから生理用ナプキンがはみ出していたこともあります。女性同士で話せばこれも笑い話ですが、教育として考えれば知っていたほうがいい知識はたくさんあったはずです。