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ビエルサが語った「失点の7通りのパターン」とは? リーズの強烈な“ハイプレス”の仕組みも愛弟子が解説 

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赤石晋一郎

赤石晋一郎Shinichiro Akaishi

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posted2020/12/12 17:01

ビエルサが語った「失点の7通りのパターン」とは? リーズの強烈な“ハイプレス”の仕組みも愛弟子が解説<Number Web> photograph by Getty Images

アーセナル戦でピッチに向けて指示を出すビエルサ

バムフォードの動きを合図にハイプレスは始まる

 リーズのハイプレスの仕組み(図参照)は次のようなものだ。

 GKからDFにパスが出た瞬間に、まずFWのバムフォードがプレッシャーをかけに行く。この動きを合図としてリーズのハイプレスは始まる。ビエルサのシステムでは前線は「マイナス1」となっているのでFWは2人のDFを見ることになる。そこでバムフォードは“左折の軌道”で走りプレスをかけることで、DFからDFへの横パスのコースを塞ぐ。このパスコースを限定するプレスを「限定プレス」という。バムフォードの限定プレスにより、DFのパスコースは右サイドに限定される。中盤の選手はバムフォードのプレスに連動する形でマッチアップ(マーク)する選手にパスが出ることを想定してインターセプトを狙う動きをする。

 一方で逆サイドの選手はマークを緩め内に絞るポジションを取る。DFがバムフォードのプレスをかいくぐって左への横パスやサイドチェンジのパスを出した場合に、直ちにプレスに行けるよう備えるためのポジショニングである。

 また、パスコースを塞がれたDFが、前にパスを出さずにGKにボールを戻すということがある。その場合、バムフォードは“右折の軌道”でGKにプレスをかける。今度はGKから右サイドへのパスを塞ぐ「限定プレス」をかけるのである。他の選手は限定プレスに連動し、左サイドの選手にマークを集中させインターセプトを狙う動きをする。

「チーム全員で連動してマイボールにすることが目的」

 ここまでの解説はあくまでハイプレスの初歩的な動きについての説明であるが、ポイントはパスコースを限定するプレスと、選手が連動してインターセプトを狙うという動きとなる。選手が連動して動くことでハイプレスは初めて大きな効果を発揮するということになる。

「ハイプレスはチーム全員で連動してマイボールにすることが目的です。直接ボールを奪えなくとも、プレーを限定させインターセプトをねらう。相手選手のミスを誘発したり、もしくは相手選手に後ろを向かせてバックパスをさせても一定の効果はあります。DFが前にパスを出せずGKにボールを戻しGKが大きく蹴る、またはDFがそのままロングボールを蹴ればボールは50:50の状況になります。一方で、DFから前にパスをつながれてしまえば攻撃を構築されてしまいます。そのためにリーズはハイプレスで攻撃の第1歩を封じることに重きを置くのです」(荒川)

 アーセナルはリーズのハイプレスを破れず、まったくビルドアップが出来ないでいた。これはビエルサが「失点の7通りのパターン」で指摘した、(7)を許さなかったことになる。

【次ページ】 0-0の試合でもエンターテイメント性が高かった

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