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岡崎慎司はビエルサのリーズに誘われていた? 滝川二高と世界的戦術家の不思議な縁とは
posted2020/12/12 17:02
text by
赤石晋一郎Shinichiro Akaishi
photograph by
SANKEI SHINBUN
11月25日、国際サッカー連盟(FIFA)が2020年度「ザ・ベスト」各賞のノミネートを発表した。男子サッカーの最優秀監督候補5人にビエルサが選出される。フリック、クロップ、ロペテギ、ジダンらトップリーグの優勝監督もしくはカップ戦王者と並んで、チャンピオンシップ(イングランド2部)王者でしかないチームの監督が選出されたことは極めて異例だ。それだけビエルサのサッカーが革新的であったという証だろう。
実はビエルサと日本代表選手を繋ぐ、もう1つの物語があった――。
12月6日、スペイン・ラリーガ第12節。ウエスカに所属する日本代表FW岡崎慎司が待望の今季初ゴールを奪った。途中出場した日本代表FWは相手DFが跳ね返したボールに野性的に反応し、GKが前に出ているのを確認してシュート。山なりのボールは無人のゴールに吸い込まれた。
滝川二高・黒田和生監督との縁
このゴールにより、岡崎はブンデスリーガ(ドイツ)、プレミアリーグ(イングランド)、ラ・リーガ(スペイン)という3つのサッカー大国のリーグでゴールを決めた日本人選手となった。実は岡崎慎司も、ビエルサと不思議な縁で繋がっている選手なのだ。
2002年、日韓ワールドカップで荒川友康がリエゾンとしてアルゼンチン代表に帯同し、ビエルサの薫陶を受けたことは当連載でも何度か触れた。
荒川はワールドカップ後、新しい道を歩むことになる。そのきっかけとなったのが育成世代の名伯楽として知られる黒田和生の存在だった。1949年生まれの黒田は東京教育大卒業後、神戸FCコーチに就任し、サッカー選手の育成に取り組むようになる。84年に滝川第二高校の監督に就任。「人間教育」をテーマとし多くのプロサッカー選手、指導者を輩出したことでも知られていた。
荒川が振り返る。