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阪神JF、“シラユキヒメ一族”ソダシが白毛馬史上初のGI制覇か 武豊騎乗、もう1頭の白毛一族出身も強い

posted2020/12/12 17:00

 
阪神JF、“シラユキヒメ一族”ソダシが白毛馬史上初のGI制覇か 武豊騎乗、もう1頭の白毛一族出身も強い<Number Web> photograph by Kyodo News

第55回札幌2歳ステークスで優勝し、白毛馬初の芝重賞制覇を遂げたソダシ

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Kyodo News

 アーモンドアイによる史上初の芝GI9勝達成など、この秋のGI戦線では次々と「歴史的記録」が樹立されている。

 今週の阪神ジュベナイルフィリーズ(12月13日、阪神芝外回り1600m、2歳牝馬GI)でも、ひと昔前なら想像もできなかった記録が打ち立てられるかもしれない。

 日本初、いや、おそらく世界初のその記録に王手をかけているのは、ここまで3戦全勝で来ている白毛馬のソダシ(父クロフネ、栗東・須貝尚介厩舎)である。

 7月の函館新馬戦を2馬身半差で快勝。つづく札幌2歳ステークスでは4角先頭のロングスパートをかけ、2歳コースレコードを叩き出した。これが白毛馬初の芝重賞制覇となった。

 それら2戦は芝1800mだったが、3戦目、東京芝1600mのアルテミスステークスでも強さはそのままだった。楽に先行して直線で抜け出し、1馬身3/4差で圧勝。

 そして、この阪神ジュベナイルフィリーズで、史上初の白毛馬によるGI制覇を目指す。

ずば抜けて少ない白毛のサラブレッドの活躍

 鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、栗毛、栃栗毛、芦毛、そして白毛と8種類あるサラブレッドの毛色のなかでも、白毛はずば抜けて数が少ない。発現のメカニズムにはわかっていないことも多いのだが、いわゆるアルビノとは違って、肌がデリケートということ以外は他の毛色より能力的に劣っていたり体質的に弱かったりすることもない。筆者が以前研究者に聞いた話によると、額の流星や四肢の白(はく)などの白徴(はくちょう)が全身にひろがったのが白毛と考えていいようだ。

 ソダシが属する白毛一族は、2代母(母方の祖母)のシラユキヒメ(1996年生まれ)が起点になっている。シラユキヒメの父サンデーサイレンスは青鹿毛で、母ウェイブウインドは鹿毛と、どちらも白毛ではない。が、シラユキヒメの仔にも孫にも白毛が遺伝しているのだから、不思議というか、面白い。

 シラユキヒメの娘ユキチャンも綺麗な白毛で、2008年に川崎の関東オークスを制覇するなど活躍した。それが白毛馬による重賞初制覇であるから、白毛が第一線で活躍するようになったのはごく最近のことなのだ。

 父がクロフネ(芦毛)のユキチャンやマシュマロなどは真っ白だったが、そのきょうだいでも、父がキングカメハメハ(鹿毛)になると、マーブルケーキやブチコなど、ブチの白毛になることが多かったのも面白い。

【次ページ】 これらの白毛の馬たちに共通すること

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