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【ジャパンカップ】「東京競馬場はあるけれど…」京王線のナゾの終着駅「府中競馬正門前駅」には何がある? 

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鼠入昌史

鼠入昌史Masashi Soiri

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photograph byMasashi Soiri

posted2020/11/29 06:00

【ジャパンカップ】「東京競馬場はあるけれど…」京王線のナゾの終着駅「府中競馬正門前駅」には何がある?<Number Web> photograph by Masashi Soiri

京王線の“ナゾの終着駅”府中競馬正門前駅には何がある? 平日に訪れてみた

 駅の改札を抜けて段差ひとつなく真っ直ぐに延びている競馬場への陸橋を通ると、スタンド3階に出る。つまり駅と競馬場の間には3フロア分の高低差があるということ。駅前から競馬場前の通り(競馬場通り)に向かって急坂が下っていることからも、“高低差”があることを教えてくれる。府中競馬正門前駅は、崖の上から競馬場を見下ろす駅でもあるのだ。

 この駅と競馬場を隔てる崖は、多摩川によって形成された河岸段丘の境界線。競馬場側は多摩川沿いの低地で、駅は崖上、すなわち立川面と呼ばれる段丘面の上にある。崖は駅前だけでなく東西に延びて続いており、この崖線を府中崖線と呼ぶ。そして当地では“ハケ”と通称されているという。裏を返せば、競馬場は府中の市街地からハケを下った低地に設けられたことになる。交通の便と買収の手間の少ない広大な用地というふたつの利点を兼ね備えたことが、東京競馬場が府中にできた大きな理由なのだろう。

もうひとつの”(東京)競馬場駅“

 なお、競馬場側の低地に下りて競馬場に沿って右回りに半周、中央自動車道の下をくぐると西武多摩川線の是政駅にもたどり着く。是政駅の裏側はもう多摩川だ。駅もそうだが、競馬場も“裏側”まで行ってみるのも悪くない。府中競馬正門前という競馬場専用駅は、多摩川という大河川が作り出した地形の妙をも教えてくれる。

 さて、長くなってしまったがもう少しだけお付き合いいただきたい。駅前の“ハケ”に沿って西へ歩いていくと、くらやみ祭で知られる大國魂神社の裏手を通り、府中本町駅に着く。府中本町駅も、府中競馬正門前駅と並ぶ(東京)競馬場駅のひとつだ。乗り入れているのはJR武蔵野線と南武線。駅と競馬場の西門はちょっと長めの専用通路でつながっている。

競馬場最寄り駅も“3駅の争い”だった

 東京競馬場の開場は1933年。府中本町駅が1928年の開業だから、競馬場開場当時からの最寄駅は、実は府中本町駅である。その当時は私鉄の南武鉄道の駅だった(1944年に国有化されて国鉄の駅になっている)。

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