ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「なぜDeNAは優勝できなかったんですか?」“大貢献のリーダー”石田健大にぶつけてみたら……
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2020/11/24 06:00
プロ6年目を迎えた今季は、登板2試合目から2カ月間にわたって自責点をゼロに抑えるなど奮闘。リリーフ陣で抜群の存在感を見せた
また今季は、試合数は少なかったものの被本塁打わずか1本とこれまでには見られなかった数字を残している。かつて石田は本塁打を浴びる機会が多かったが、昨年あたりからかなり改善されてきている。
「そこも意識的に考えて投げているんですけど、正直、現時点では今季なにが良かったのかデータとしてはわかっていないんです。これから精査しないと。ただ、強度のあるボールを、低めに集めることができているとは思いますね」
好投の要因として、今季は気心の知れた戸柱恭孝とバッテリーを組む機会が多く、刺激を受けながら抜群のコンビネーションを奏でることができたということもあるだろう。
「お互いの癖をわかっているし、自然と攻め方や配球の話になるんですよ。一方で試合中、この場面はこのボールだろと思っても違うサインが出ることもありました。けど、いやそれはって思うのではなく、面白いんじゃないかって考え方にさせてくれたりするんですよね」
石田の投球の幅は確実に広がっていた。
異例のシーズンを支えた選手たち
コロナ禍もあり例年とは異なるシーズンだった。リリーフとして起用されるようになって3年目、ブルペンから見える風景はいつもの年とは違っていた。とくに守護神である同期入団の山崎康晃が大スランプに陥り、クローザーの立場を外された。石田は「同級生だからできたことがあった」と語る。
「本当に厳しいシーズンだったと思います。ヤス(山崎)もプロになってここまでの経験はしたことはなかった。ビハインドで投げたりすることもありましたが『いい経験になるんじゃないの』って話はさせてもらいました。僕も含めて、そういったところからポジションを上げていった選手は多いですし、最初からクローザーだったヤスにはわからない部分が絶対にあったと思うんです。だからアドバイスとか声掛けはよくさせてもらいましたよ」
その山崎に代わって、7月末から三嶋一輝がクローザーとなりチームを支えた。大学の先輩でもある三嶋の姿に、石田はあらためて驚かされたという。
「本当にすごいですよね。例えば僕があのポジションで投げ切ることができるかと言ったら、たぶんできていないと思います。三嶋さんは向いているというか、緊迫した場面でも勝負ができる。それもやはりどん底を見てきたというか、何年間も苦しんできた人間ならではの底力というのを感じましたよね」
そしてブルペンからフィールドを見つめれば、そこには新キャプテンとして奮闘する佐野恵太の姿があった。
「キャンプのときから好きにやってほしいと思っていましたし、キャプテンだから考えすぎる必要はないという話をしていました。実際、伸び伸びやってくれたし、チームの雰囲気も良かった。しかも首位打者ですからね。気がつけば毎試合打っていましたし、それを1シーズン続けたんですからたいしたもんです。この先もキャプテンを務めると思いますけど、さらにチームが勝つためにどうやっていけばいいのか、来年に期待したいですね」