「ミスをできる日なんて1日もなかった」

　石田も獅子奮迅の活躍だった。勝ちパターンはもちろん、ビハインドやワンポイント、火消しからの回跨ぎなど難しい仕事を淡々とこなし、21試合連続自責点0を記録するなどチームになくてはならないセットアッパーになった。また今季は4敗しているのだが、うち2失点以上喫したときに3敗している。つまり打ち込まれれば負けが付く、重要な場面を任されることが多かった。

「それはめちゃくちゃ感じましたね」

　ふいに石田の声が大きくなる。

「失敗をすると負けが付く場面はプレッシャーも当然掛かるのですが、一方でやりがいもすごく感じていたんです。良いピッチングをすれば評価されるし、悪いピッチングをすると負けという形で記録に残る。当たり前ですけど、ミスをできる日なんて1日もなかった」

　そして勝気な表情で言うのだ。

「だからすごく楽しかったんですよ。個人的にはいい場面で投げさせてもらって充実していたし、達成感もありました」

　今季は、昨年のように先発にまわされることもなくリリーバーに集中できたのも功を奏した。

「昨年はチーム状況によって先発にまわることもありましたが、正直、先発の石田というピッチャーは、数字的に見ても本当に通用していたのか疑問に思うこともあったんです。それでも集中して中継ぎをやることで、新しい自分を発見できたというか、ラミレス監督には本当に感謝しているんです」

一歩目を踏み込ませてくれたラミレス監督

　ラミレス監督が指揮をした5年間、石田は開幕投手を2度任され、一方でチーム事情のため中継ぎと先発を兼任することもあり、非常に難しい仕事を任されてきた。その意味からすればラミレス時代を象徴するピッチャーの1人だった。

2016年シーズンから監督を務めてきたアレックス・ラミレス氏。今季で退団となった

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「いろんなことがありましたよね。いいときも悪いときも理解をしてくれる監督で、ありがたかったのは不調であったとしてもファームに行かせて様子を見るわけでもなく、配置転換をしてマウンドを任せてくれたりしたことです。それによって発想を変えることができ、今の自分に繋がっている。ラミレス監督じゃなかったら、今はまったく投げることができなかったかもしれない。そう考えると感謝ですし、若いうちにいろんな経験をさせてくれたのは、本当に良かったなと思うんです」

　ラミレス監督に指導を受けた期間、一番印象的だったことは何だろうか。

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