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「高校でのスタイルを捨てた」 ロッテ“高卒ドラ1コンビ”安田尚憲21歳と藤原恭大20歳が急成長できたワケ
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKYODO
posted2020/11/20 11:04
2017年、ドラフト1位で履正社高から千葉ロッテに入団した安田尚憲。CS最年少本塁打を記録
「人間はそれぞれ骨格が違うと思うんです。だから、練習メニューは合うものもあれば、そうではないのもあります。昨季はやってみろと言われたものは全てやってきたんですけど、必要ないなと思ったメニューに関しては、自分から言って省いてもらおうと。自分にとっては意味のない練習をしないようにしたいなと考えています」
高校時代から藤原は「根拠を持って練習をやりたい」と口にしてきた。どちらかと言うとスイング量を気にするタイプであったものの、ただ量を気にしていると言うわけではなく、本当に必要な練習であるかは、彼の中で大事にしてきた感覚だった。
いい感覚で打てた時のことをメモする癖がついているのも、当時からの習慣で、それが藤原を選手として成長させてきた大きなファクターなのだ。
三拍子揃った選手を目指したい
もっとも、バックスピンをかける打法をやめたからと言って、藤原は長打を捨てたわけではなかった。それはレギュラーシーズンで2本の先頭打者本塁打をマークするなど、短期間で3本塁打という結果を見ても明らかである。
「ホームランか、打率かと問われると、より多く出塁したいので打率をとりますけど、ホームランを打ちたい気持ちは強くあります。二桁ホームランは意識したいです」
今季の一軍昇格は新型コロナウイルスの蔓延で、主力が大量に離脱して巡ってきたチャンスだった。ただ、そうした運をしっかり力にして、シーズン前から取り組んできた打撃で結果を残し、レギュラーシーズンでは好守でチームを救った。ポストシーズンで出塁率4割をマークして、東浜―甲斐のバッテリーから盗塁も決めるなど、しっかりと足跡を残した。
「高校では三拍子をウリにしてきました。それもあってドラフト1位でとってもらったと思っているので、三拍子揃った選手というのを目指していきたい気持ちはあります。1つを極めるというよりも、3つともにこだわっていきたいです。一軍で活躍したい気持ちは人よりは強いと思います」
藤原はシーズン前にそう語った通りの活躍をCSで見せつけた。
2017、18年のドラフト1位がともに躍動したロッテの2020年クライマックスシリーズ。2連敗での敗退は呆気ないものだったが、2人にとっては、大いなる手応えになったに違いない。