Number Do ExBACK NUMBER
7年ぶりの箱根駅伝、予選会10位の専修大に秘策あり? 「バーチャル駅伝」で“山下りの神”を追う
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byJMPA
posted2020/11/19 17:00
10月17日、箱根駅伝予選会でぎりぎりの10位で通過を果たした専修大学の選手たち。次点の筑波大学とはわずか18秒差だった
「チームのことを思いやることができた」
専大でも箱根駅伝本戦に向けたメンバー争いが激化するなかで、このバーチャル駅伝は選手にとって絶好のアピールの機会でもあった。
参加した3年生の横山佑羽がこう語る。
「今はみんなに箱根出場のチャンスがある状態で、チーム内の競争心はさらに上がっています。そんななか、このようなレースがあり、アピールの場を持てたのはありがたかった。リアルな駅伝とは違って前後に競り合う選手がいませんし、実際に次の走者がその場で待っているわけではありません。それでも、次の走者のことを思って“ここは粘らなきゃな”と思いながら走りました。気持ちの面ではリアルなレースと変わらず、チームのことを思いやることができたのかなと思います」
横山は箱根駅伝予選会ではアクシデントもあって本来の力を発揮できなかったが、バーチャル駅伝では10km区間を担い、名誉挽回とばかりに力を尽くした。
東海の館澤の走りをイメージしながら
ASICS World Ekiden 2020の特徴の1つは、コースも、走る時間帯も、各々の走者が決めることができるという点。また、全6区間あるものの走る順番はバラバラでも構わない。これはバーチャルレースならではの面白さであり、勝負に徹するなら戦略を練るポイントでもあるだろう。
箱根駅伝で山下りの6区を希望している横山の場合は、本番を想定した下り基調のコースで10kmに挑んだという。
「自分の適性をアピールしたかったので……(笑)。簡単には勝てない、自分より格上の相手が前を走っているのをイメージし、それを追わなければいけないという意識で走りました。前回区間新の東海大(現在横浜DeNAランニングクラブ)の館澤(亨次)さんが下っている映像を見たりしているので、その走りをイメージしながら、“離されないように”とか“勝ちたい”とか、そういう気持ちで下っていました。
駅伝では“タスキ渡し”は肝になってきますが、うちは箱根から遠ざかっていたので大学に入ってから“タスキ渡し”を経験している人が少ない。バーチャルかもしれないけれど、それを体験できたことは、箱根駅伝を前にチームが一丸となるためにとても良い経験になったと思います」