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「サニブラウンに勝った男」「高校通算55本の飛ばし屋」…2020年ドラフト目玉候補<外野手ベスト3>は?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2020/10/18 11:00
ドラフト目玉候補ベスト3 外野手編(1)中央大・五十幡亮汰(172cm72kg・右投左打・佐野日大高)
ただ五十幡が、本当の意味で、「野球選手」になったなぁ……と思えたのは、昨年の秋あたりからだ。
それまでは、走塁以外についてはなかなか出来なかったり、出来ているのに自信なさげだったり、ちょっとフワフワとしたところのある選手だった。走りがあまりに図抜けていたために、「攻・守」が見劣りして見えていたのだった。
中日、ヤクルトあたりの2位までに指名か
まず「守」がグッと上手くなった。もともと打球の落下点にとっつくスピードは抜群だったが、スローイングにちょっと消極的な面があった。大事にいこうとして、タッチアップの場面などここ一番で勝負を賭けられないことがあって、もったいないなぁと思っていたが、昨秋あたり、大胆なロングスローに挑めるようになった。
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誰かにホメられたのではないか……もともと、60~70mをライナー軌道で投げられる一級品のスナップスローの持ち主だ。あのスナップスローと身体能力があれば、内野手だってこなせる。「二塁手」で鍛えたら、抜群のスピードと併殺能力を持った菊池涼介(広島)タイプの選手になれるのでは…そんな妄想まで浮かんでくる。
そこに、「強打」が加わった。バッティングが悪かったわけじゃない。志がちょっと低かっただけだ。俊足の選手が内野安打狙いの「打ち逃げ」みたいなことをするのは、中学、高校ではよくある。気持ちもわかるが、それでは「将来」がない。高校なら当てただけでもゴロになるが、上に行ったら前にも飛ばない。
五十幡のバッティングに「力点」を感じたのもやはり昨秋だ。インパクトの瞬間にメリハリを利かせて、パチン!と振れるようになった。さらに、この秋は、「ガツン!」と行けるようになった。同じセンター前でも、猛烈な打球で弾き返せる。「やられた……」と、相手投手の心が折れるような球が打てるようになり、プロで「即戦力」が期待できるレベルに台頭した。
阪神・近本光司の大阪ガス当時に近い総合力。「右投げ」のぶん、ポジションの可能性が広がるのがアドバンテージか。
たとえば中日、ヤクルト…快足のリードオフマンタイプが欲しい球団に、2位までに指名されると見ている。