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中日スカウトが明かす“2010年ドラフトの真相”「なぜ澤村拓一ではなく、大野雄大を1位指名したか」

posted2020/10/18 17:01

 
中日スカウトが明かす“2010年ドラフトの真相”「なぜ澤村拓一ではなく、大野雄大を1位指名したか」<Number Web> photograph by KYODO

2010年のドラフトで中日から1位指名を受けた大野雄大(当時、佛教大)

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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10月26日、プロ野球ドラフト会議が行われる。「人生の分岐点」とも言える運命の1日。各球団はどんな“指名戦略”で臨んでいるのか。中日のチーフスカウトが明かしたのは“2010年ドラフト”の内実。あの日、中日はなぜ澤村拓一ではなく、大野雄大を指名したのか――。(全2回の1回目/広島カープ編に続く

 昨季のドラフトで中日が誰を1位指名にするか、密かに楽しみにしていた。

 ドラフトから2週間ほど前、スカウトになって今年で20年目を迎える中日の米村明(現チーフスカウト)から悩める内情を耳にしていたからだ。

「能力なら佐々木朗希(当時大船渡、ロッテ)が群を抜いとる。ジャパンのキャッチャーすら取れない真っ直ぐを投げる投手なんか、そういない。そこだけで行くなら、佐々木指名で間違いない。でも、地元には恐ろしいスラッガーがおるやろ。石川昂弥(当時東邦、中日)。あれは放って置けない。一方で、現場からはサウスポーが欲しいっていうし、それなら河野竜生(当時JFE西日本、日本ハム)がナンバーワン。奥川恭伸(当時星稜、ヤクルト)も当然候補。最後の最後まで、うちの中で揉めるやろうなぁ」 

「実力が同じくらいなら地元を選ぶ」

 愛知に本拠地を置く中日は地元・東海地区の選手を重視している。一昨年は球団の総意として岐阜県出身の根尾昂獲得に執念を燃やした。昨年は東海地区からも近い北信越の奥川という線も憶測が立ったが、素材NO.1の佐々木、現場の声も念頭に入れた中で悩み抜いたドラフトだった。

 結局、「実力が同じくらいなら地元を選ぶ」信念を貫き、佐々木、奥川、河野ではなく、石川の指名に踏み切った。

 ドラフトでは各球団、こうした悩みが最後まで繰り広げられる。場合によっては選手の担当スカウト同士の鍔迫り合いも行われるほどだ。こっちの選手を指名するべきだ。いや、こっちだ、と。そうして、指名された選手の人生は分かれていく。

大豊作だった「ハンカチドラフト」

 そんな中日でもっとも運命を左右したのが2010年のドラフト会議だ。世間でも「ハンカチドラフト」と騒がれた話題の年だった。

 1988年度生まれの選手が大学4年生を迎えたこの年は、早大の三羽ガラス、斎藤佑樹(日本ハム)、大石達也(元西武)、福井優也(楽天)を中心に中央大の澤村拓一(ロッテ)、東海大の伊志嶺翔大(ロッテコーチ)、佛教大の大野雄大(中日)などが1位候補と目されていた。

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