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「なぜ、自分のドリブルは抜けるのか」意識高すぎルーキー・三笘薫が筑波大で書いた卒業論文
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byGetty Images
posted2020/10/14 11:01
ルーキーながらリーグ9得点をマークする三笘。層が厚いフロンターレにおいても欠かせない存在となった
スーツケースがぱんぱんになるほどに……
「プロで1年目から大活躍している、あの三笘も必死に勉学に励んでいた証拠のようなものです。学業を疎かにしない、いいお手本になっています」
サッカーに向き合う姿勢はストイックそのものだった。大学時代から多角的な視点を持ち、成長にどこまでも貪欲。スポーツ科学の叡智が集まる筑波大の環境を存分に活用した。ひょろひょろとした体をたくましくするために、あらゆる努力を惜しまなかった。栄養学に基づく食事管理もそのひとつ。大学時代から公私ともに仲の良い川崎の現チームメイトである旗手怜央(当時順天堂大)は、全日本大学選抜の遠征で驚いたという。
「意識がめっちゃ高いなと思いました。遠征のときもスーツケースがぱんぱんになるくらい自分で食べ物を用意してきていましたから」
力を注いだ「スピードアップ」
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フィジカルトレーニングもしかり。体を大きくするために、闇雲に筋力アップに励んだわけではない。目的に合わせて専門家を訪ね、自分にとって必要な運動能力を向上させた。特に力を注いだのは、直線的なスピードアップ。大学のキャンパスを少し歩き、日本代表の原口元気(現ハノーファー/ドイツ)らも指導したシドニー、アテネ五輪で110mハードルの代表選手だった谷川聡准教授に走り方の教えを請うた。
川崎のアカデミー時代から三笘のプレーを見てきた同クラブの向島建スカウトは、大学1年生の頃からその変化を感じ取っていた。
「大学ではパワーだけではなく、スピードが増しましたね。ユース時代から技術は相当高かったのですが、いまみたいにスピードを生かして抜いていくタイプではなかったので。動きがダイナミックになり、リーチをうまく使えるようになったかなと。持ち味のドリブルも威力が倍増しました」