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全米男子決勝は“心を捉える消耗戦” 新王者ティーム誕生、BIG3vs.次世代は新展開へ 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byGetty Images

posted2020/09/15 18:00

全米男子決勝は“心を捉える消耗戦” 新王者ティーム誕生、BIG3vs.次世代は新展開へ<Number Web> photograph by Getty Images

厳しい意見も並んだティームとズべレフの決勝だったが、フルセットマッチの激闘だったことは間違いない。

ズベレフも燃料切れを起こしていた

「何年も何年も、けいれんすることはなかったのだけど。体からくるけいれんではなく、メンタルからくるものだったと思う」

 一方のズベレフも最初の2セットの積極性が影を潜め、第3セット以降は出来の悪い日の彼に戻ってしまった。ズベレフは第3セット2ー1からブレークバックを許したゲームが分岐点だったと振り返る。

「ブレークを許し、そこから試合が変わった。彼のプレーが良くなってきて、僕のほうは悪くなった。その後もチャンスはたくさんあったのだけど」

 第5セットには互いにサービング・フォー・ザ・マッチの好機があったが、取りきれない。最上段にギアを上げて試合に臨んだズベレフもまた、燃料切れを起こしていた。

「タイブレークではけいれんが来ていたんだ。そのために押しきることができなかった。ファーストサーブを打ちきれなかった」

「最高のテニスができなくなっていたのは」

 タイブレークでズベレフは、この試合15本目のダブルフォールトをおかし、みずからを窮地に追い込んだ。恐る恐る打つセカンドサーブは球速が落ち、時速112kmの「スローボール」もあった。ティームがもう少し詳しく2人の状況を説明した。

「彼にとっては初めてのメジャー大会決勝だった。彼も僕もBIG3との対戦機会がなく(決勝に勝ち上がり)、そのことが頭の中にあったと思う。お互いにチャンスだと思っていて、それで緊張していたんだ。僕は立ち上がり、明らかに硬くなっていた。

 2人とも最高のテニスができなくなっていたのは理解できる。彼が王手をかけてサービスゲームを迎えたとき、僕は体力的に苦しかったし、彼もフレッシュではなかった」

【次ページ】 「すごくホッとした。超タフだった」

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ドミニク・ティーム
アレキサンダー・ズベレフ

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