フランス・フットボール通信BACK NUMBER
MLSがリーグMX合併で巨大リーグに 北米サッカー界で起きている激震
text by
トマン・グバンThomas Goubin
photograph byL'Equipe
posted2020/09/09 07:00
メキシコのトップリーグ・リーガMXのエンリケ・ボニラ代表(写真左)とMLSのコミッショナーであるドン・ガーバー。両者の利害は完全に一致したようだ。
両リーグの経営方式の違いを克服できるか?
ギレルモ・サマリパ(リーグ合併を推進する「マーケティング・ジャージー」社のディレクター)のコメント
――MLSとリーガMXの合併では誰がウィナーになりますか?
「それはアメリカだ。国内在住のラティーノはサッカーの一大消費者で、彼らはチーバスやアメリカ(ともにメキシコリーグのクラブ)が、(メキシコ代表の)カルロス・ベラがプレーするMLSのロサンゼルスFCや(同じくメキシコ代表の)ロドルフォ・ピサロとチチャリートがプレーするインテル・マイアミ(MLS)と対戦する試合しか見たがらないからだ。MLSの人気を高めるためのプロジェクトとしては最適といえる。MLSだけだと成長にも限界がある」
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――どんな問題が予測されますか?
「両者はDNAが相反する。MLSはひとりのコミッショナーのもとにまとまり、すべてがニューヨークに集中しているがメキシコは違う。それぞれのクラブオーナーが発言権を持ち、テレビ放映権もクラブごとに交渉をおこなっている。構造面での違いも多々ある。だからこそリーグスカップが大きな意味を持つ。この合併という事業は、未来を切り開くためのラボラトリーであるといえる」
――2026年にむけてはポジティブな見通しが立ちますか?
「ことサッカーに関しては、これからの6年は密度の濃いものになるだろう。ワールドカップへの期待とともにサッカーが多くのファンを魅了する。だからリーグ構想は戦略としては素晴らしい。合併によって生まれる巨大なリーグの魅力が、ファンの心を捉えるだろうことは間違いないからだ。両国に共通して適応できるサッカーリーグの経営システムを確立できるか否かが最大の鍵になるだろう」