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MLSがリーグMX合併で巨大リーグに 北米サッカー界で起きている激震
posted2020/09/09 07:00
text by
トマン・グバンThomas Goubin
photograph by
L'Equipe
北アメリカ大陸で、新たな動きがおこっていることをみなさんはご存じだろうか。2026年に開催されるアメリカ・カナダ・メキシコ広域ワールドカップを前に、リーガMX(メキシコリーグ1部)とメジャーリーグサッカー(MLS)を統合しようとする試みである。すでにその前段階として、昨年には両者のクラブによるリーグスカップが開催されている(今年はコロナ禍により中止)。アメリカ、カナダ、メキシコをまたぐひとつのリーグをつくる。それは大陸全体を1つのマーケットにすることを意味し、新たな利益を生み出そうとする壮大なプロジェクトである。『フランス・フットボール』誌6月16日発売号でトマ・グバン記者がレポートしている。
監修:田村修一
今後6年間、メキシコリーグ2部からの昇格は無し!?
コロナ禍によりリーガ・デ・アセンソ(メキシコ2部リーグ)が中止に追い込まれたとき、グアダラハラのレオネス・ネグロスに所属するディフェンダーのホルヘ・パディージャはクラブの昇格を賭けて戦っていた。リーグは3節を残し、5位につけていたネグロスはプレーオフに手が届きかけていた。
だが、今、パディージャの希望は潰えた。リーグは打ち切られ、プレーオフ進出は夢に終わってしまったのだった。
「悲しいに決まっているだろう。未来が闇に包まれてしまったのだから」とパディージャは言う。
「僕ら選手にとってもそうだし、2部リーグでサッカーにかかわるすべての人々の希望が潰えてしまった」
メキシコ協会はこの4月21日、少なくとも今後6年間、リーガMXを昇格・降格のない閉じた選手権にするという決定を下した。発表されたコミュニケによれば、それは1部リーグに所属するクラブの財政を安定させるためであるという。だが、水面下では、あるプロジェクトが進められていたのだった。それはメジャーリーグサッカー(MLS)とリーガMXを統合し、北米に新しいプロリーグを創設するという壮大なプロジェクトだった。
実現すれば、北アメリカ大陸は新たな時代を迎えることになる。