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「大統領選を忘れるな!」プレーオフを戦い続けるレブロンらNBAプレーヤーの胸の内。 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byDouglas P. DeFelice/Getty Images

posted2020/09/08 18:00

「大統領選を忘れるな!」プレーオフを戦い続けるレブロンらNBAプレーヤーの胸の内。<Number Web> photograph by Douglas P. DeFelice/Getty Images

複雑な心境の中でプレーオフを戦うレブロンらNBAの選手たち。残り1カ月半、彼らはどんなメッセージを送るのか。

選手の意思を汲み取ったオーナー陣。

 間違いなく人類の歴史に刻まれる2020年。この波乱万丈の1年の中でも、NBAの選手たちにとって最大の関心事はおそらく新型コロナウイルスによるパンデミックではなかった。社会問題化した人種差別とそれに対する抗議活動こそが、彼らにとって最優先事項となっていた。

 そもそものきっかけは5月25日、46歳の黒人男性、ジョージ・フロイドがミネアポリスの白人警官に殺されたことだ。この事件に端を発し、連日、全米各地で大規模なデモが勃発した。平和的な抗議活動だけでなく、一部は暴動、略奪にまで発展し、まるで世紀末のように荒廃した映像が全世界を駆け巡ることになった。

 黒人アスリートの代表であろうと意識するNBAの選手たち、関係者もこの事態を無視できず、多くのスーパースターたちがデモに参加し、声を挙げ続けた。シーズン再開が近づいても流れはもちろん変わらず、『Black lives matter(黒人の命も同じように重要だ)』の呼びかけはリーグ全体を貫く一大スローガンとなっていった。

 NBAのオーナー陣も選手たちの意思を汲み取り、8月上旬にはNBA理事会が黒人社会の経済的支援を目的とした10年総額3億ドルの基金設立を発表。また、シーズン再開後、選手たちはユニフォームの背中に「平等(Equality)」「教育改革( Education Reform)」などの社会的なメッセージを入れること、国歌斉唱の際には膝をつくことなどが許可された。特に選手、関係者がほぼ一丸となって膝をつく姿は、団結の象徴として多くのメディアからも盛んに取り上げられた印象があった。

「11月3日の投票を忘れないでほしい」

 ただ、それでも当の選手たちの間には、まだ十分ではないという思いがあったのだろう。試合ボイコット後、バックスが発表したこのような声明文からは、今の彼らが何を熱望しているかが見えてくる。

「変化を求める圧倒的な声があったにもかかわらず、いまだ何も起きていない。私たちは今日、バスケットボールに集中できない。すべての市民が自らを教育し、平和的で責任ある行動を取ることを奨励する。そして11月3日の投票(アメリカ大統領選挙)を忘れないでほしい」

 当然ではあるのだが、簡単には変わらない世界、変えることができない自分たちも含めた周囲の人間たちに対するフラストレーションがそこにはある。再開後のシーズンが進むにつれて優勝争いへの注目度は高まっても、危惧されていた通りに社会活動への比重、報道などが小さくなっていることに不満を感じていた選手もいたに違いない。そして、それらの不安と憤りがわかりやすい形で吹き出すきっかけとなったのが、ウィスコンシン州での黒人銃撃事件だったのだ。

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