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「大統領選を忘れるな!」プレーオフを戦い続けるレブロンらNBAプレーヤーの胸の内。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byDouglas P. DeFelice/Getty Images
posted2020/09/08 18:00
複雑な心境の中でプレーオフを戦うレブロンらNBAの選手たち。残り1カ月半、彼らはどんなメッセージを送るのか。
オバマがレブロン、ポールらと対面?
「48時間に及んだ」とされる選手会とリーグの話し合いの後、一時は中止の可能性も取り沙汰されたNBAのプレーオフは幸いにも再開されている。この会談の最中には、前アメリカ大統領のバラク・オバマ氏までもがレブロン・ジェームズ、ポールをはじめとする何人かの選手たちと対面したといった報道もあった。
オバマ氏からもアドバイスを受けた選手側に対し、オーナー側は今後、人種差別問題へのさらに積極的な取り組みや、11月の大統領選挙に関する活動を話し合っていくと約束した。そうした経緯から、最終的にシーズン継続が決まったと伝えられている。
“先進的”なNBAが示した影響力。
今回、NBAの中断以降、MLB、WNBA、メジャーリーグサッカー、さらには女子プロテニスの大坂なおみにまで人種差別に対する抗議のためのボイコット運動は広がった。
「NBAが止まったら、みんなが止まった。僕たちの声は聞き入れられたんだ」
ラッセル・ウェストブルックのそんな言葉通り、近年は最も先進的なプロスポーツリーグと呼ばれてきたNBAは、ここで改めてその影響力を示す結果にもなった。
これほどのパワーがあるリーグだからこそ、シーズン中止という判断はやはり急進的に過ぎるように思える。現在まで勝ち残っている選手たちの頭の中には、最後まで優勝を目指したいという意欲が例外なくあるはずだし、ここでキャンセルを断行すればリーグ全体の金銭的なダメージも計り知れない。そして、選手たちが重視する社会的メッセージの発信のためには、プレーを続けた方が大きな効果を得られるであろうことはレブロンも認めている。
「多くの選手たちは、個人で発信できるプラットフォームは持っていない。(シーズンを終えて)家に帰ったら、残念ながらその声は届かなくなってしまう。こうしてこの舞台に集まれば、そんなことは起こらない。(みんなが集まれば)“数にモノを言わせる”ことができるんだ」