甲子園の風BACK NUMBER
高校生ドラフト候補が躍動。甲子園での合同練習会に早くも「来年もあるべき」の声。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/09/03 08:00
実りの多かった「プロ志望高校生合同練習会」。甲子園の土を初めて踏んだ高校生たちもいた。
合同練習会でリストに加わる選手も。
今年は高校の活動期間が限られ、夏に各都道府県の代替大会は行われたものの、スカウトの入場が制限される地域もあった。それだけに今回の合同練習会の意味は大きいと、各球団のスカウトは口を揃える。
楽天の後関昌彦スカウト部長は、「今年に関しては(選手を)見きれない部分もあった。本来であれば出向いて行くところ、今回は来ていただいてパフォーマンスを見せてもらえたことは助かった」と言う。日本ハムの大渕隆スカウト部長も、「今回、球団の複数の人間で見られたことが大きい」と話した。
注目されていなかった選手が、合同練習会を機にリストアップされることもありそうだ。日本ハムは、今回参加した77人のうち、もともとリストに入っていたのは15、6人ほどだったが、練習会で新たに2、3人、リストに加わりそうな選手がいたという。
「恵まれていたと最後は感じました」
何より、選手にとってこの練習会は大きな支えとなったようだ。新型コロナウイルスの影響で大会がなくなり落ち込んだが、合同練習会に参加することがモチベーションになったとコメントする選手は多かった。中でも、東播磨の中堅手・宮本一輝の言葉が胸に響く。
「夏の大会がなくなったときは、大きな喪失感がありましたが、代替大会や合同練習会などのチャンスをいただけた僕らの学年は、周囲の人に助けてもらい、恵まれていたと最後は感じました。その意味でも、軽率なプレーはできないと思い、今日は一生懸命プレーしました」
ソフトバンクの城島球団会長付特別アドバイザーは、「自分のプレーをお披露目する場所ができたことは選手たちにとってすごくいいこと。今回プロに行かなかったとしても、(この場で目にとまり)社会人に入ったり、大学に行くことで野球を続けていける。こういう取り組みがなければ、次のステップに進めない子が出てくる。そうなるとその子の野球人生が断たれてしまうというのが一番悲しいこと」と語った。