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若き天才監督ナーゲルスマンの思考。
CL準決勝でトゥヘルと運命の決戦。
posted2020/08/18 19:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
8月13日、ドイツ・ブンデスリーガのRBライプツィヒが、欧州チャンピオンズリーグの常連で2015-16シーズンのファイナリストであるアトレティコ・マドリーを2-1で下し、クラブ史上初となる準決勝進出を果たした。
バイエルン以外のドイツクラブがCL準決勝まで駒を進めるのは、2012-13シーズンのドルトムント以来となる。
想像できるだろうか。
ライプツィヒは当時3部リーグのクラブでしかなかった。それがレッドブルグループの資金サポートもあり2013-14シーズンに2部へ昇格すると、2015-16シーズンには一気に1部昇格に成功。2016-17シーズンは昇格早々2位に入ってCL出場権を得ると、2017-18シーズンには6位でヨーロッパリーグ(EL)、そして遂に2018-19シーズンにもCLに出場している。
そんなクラブを一層成長させるために招聘されたのがユリアン・ナーゲルスマン監督だ。33歳での準決勝進出はCL最年少監督記録となる。ちなみに、CL最年少監督記録は2年前のホッフェンハイム時代に自身で更新している。ビクトル・ゴンチャレンコ(当時BATEボリソフ監督)の31歳99日より早い、31歳58日という記録だった。
28歳の頃から自信に満ちていた。
28歳でホッフェンハイムの監督に就任したときには、誰からも懐疑的にみられていた。だが、当時から自信にあふれた立ち居振る舞いで選手と向き合い、頭に描かれたビジョンを明確な言葉で伝えていく能力に秀でていた。厳しさだけでなく、楽しさをバランスよく取り入れることでチームの雰囲気をうまく作り出すことができる監督だ。
指導力というものは、年を重ねれば自然と身につくものではない。経験不足と若さとは別の次元の話だ。
ホッフェンハイムは、当初からナーゲルスマンの指導力に最高レベルの評価をしてきたという。以前取材をしたホッフェンハイムのスポーツイノベーション部門のチーフであるラファエル・ホフナーは、ナーゲルスマンについて次のように語っていた。
「ユリアンは我々のクラブにとってカギとなる存在だ。長く私たちの下で指導者としての経験を積み、U19監督として素晴らしい腕を披露している。最後の一歩として、現在プロコーチライセンスの講習会を受けているが、クラブとしては彼がいつの日かプロチームで監督をすることは明確になっているんだ」