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ホークアイが正常だったなら……。
2部降格ボーンマスの末路と悲哀。
posted2020/08/06 11:40
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
ワトフォードのオーナーを務めるジーノ・ポッツォは、人を見る目を持たない。
ワトフォードはハビエル・グラシア監督の巧みな采配により、2018-19シーズンは11位という望外の好成績を得た。
ところが今シーズン、開幕3連敗。慌てたポッツォはグラシアを解任した。途中就任の一昨シーズンには粘りの健闘を見せ、昨シーズンは前述したようにトップ10まであと一歩へと導いた功労者を、いとも簡単に切り捨てるとは……。ポッツォの人選は拙速が過ぎる。
また、グラシアの後任として約3年ぶりに呼び戻したキケ・サンチェス・フローレスは、10試合でクビ。続くナイジェル・ピアソンも7勝4分9敗、20試合で勝点25とまずまずの数字を残したにもかかわらず、36節終了後にカットされている。
あまりにも無作為な監督人事。ワトフォードがプレミアリーグから降格したのは当然だ。すべての非はポッツォにある。
今シーズンだけではない。2012年6月にワトフォードを買収して以降、ポッツォは実に12人もの監督を起用している。ポゼッション信奉者だったり、堅守速攻型だったり、どのようなチームを創りたいのか、スキームが絶望的に曖昧だ。
これではプレミアリーグ復帰は至難の業、と言わざるをえない。
ボーンマスの人間関係は良好だが。
ワトフォードと異なりボーンマスのスキームは明確だった。強豪との対戦では現実的なプランを選択し、その他のケースではポゼッションを意識する。
ジェフ・モスティン会長はエディー・ハウ監督に全幅の信頼を寄せて、不振に陥ってもどっしりと構えていた。この人間関係があったからこそ、ボーンマスは4シーズン連続でプレミアリーグに留まり、ハウも長く監督のポストに座っていた。
しかし今シーズンは、いや、今シーズン“も” というべきだろう。
ボーンマスは負傷者が相次いだ。