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ホークアイが正常だったなら……。
2部降格ボーンマスの末路と悲哀。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/08/06 11:40
ボーンマス、エディー・ハウ監督。相次ぐ負傷にゴールライン・テクノロジーの異常が追い打ちをかけて2部降格。言い訳もせずに退任した。
チームやハウ監督を愛していても。
ボーンマスを、さらにはハウ監督を愛していたとしても、プレミアリーグに残り、上位クラブで自分の力を試してみたい、というのが選手の本音だろう。アケのように、シティからオファーが届いているのならなおさらだ。チャンピオンズリーグの舞台にも立てる。
1シーズンでプレミアリーグに戻るためには、アケもブルックスもレルマもビリングも確保しておきたい。しかし、上層部も「チャンピオンシップで、1シーズンだけ我慢してくれないか」とは言いづらい。断腸の想いで数人の選手の移籍は容認せざるをえない。
その結果がチーム力の低下を招き、おそらくチャンピオンシップに長居するようになる。2020-21シーズン、リーズはプレミアリーグに復帰するが、実に17年ぶりのことだ。
ノッティンガム・フォレストもミドルズブラも、チャンピオンシップでもがき苦しみ、2018-19シーズン限りでプレミアリーグから降格したハダースフィールドは18位。リーグワン(実質3部)がすぐそこまで迫ってきた。
ハウ監督「全責任は私にある」
今回の降格に関し、ボーンマスには言い分がある。
ゴールライン・テクノロジーが正常に反応していれば、6月17日に行われたアストン・ビラ対シェフィールド戦は引き分けではなく、後者の勝利に終わっていたと考えられる。
結果、アストン・ビラの勝点は1ポイント減点されてトータル34。ボーンマスと同ポイントだ。得失点差をチェックしてみよう。
マイナス25とマイナス27。2点だけボーンマスが上回り、プレミアリーグ残留となる。ボーンマスは、ゴールライン・テクノロジーを管理する『ホークアイ・イノベーションズ』を損害賠償で訴える予定だ。
それでもハウ監督は「全責任は私にある」と語り、8月1日に退任した。敗軍の将、兵を語らず……。言い訳をしない様は美しい。