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ホークアイが正常だったなら……。
2部降格ボーンマスの末路と悲哀。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/08/06 11:40
ボーンマス、エディー・ハウ監督。相次ぐ負傷にゴールライン・テクノロジーの異常が追い打ちをかけて2部降格。言い訳もせずに退任した。
相次ぐ負傷に重なった「問題」。
サイモン・フランシス:15試合
チャーリー・ダニエルズ:2試合
アンドリュー・サーマン:5試合
デイビッド・ブルックス:9試合
これは今シーズンの出場数だ。ハウ監督が期待していた主力は満足に闘える状態ではなかった。ダニエルズが健在だったら闘争本能を維持できていたに違いない。ダニエルズが最終ラインに入っていれば、高性能の左足で最終ラインからチャンスを創り、サーマンはハードワークで中盤を支える。
そしてブルックスが2トップの背後で、あるいは右サイドで、柔軟なテクニックを駆使しながら対戦相手を翻弄していただろう。選手層の薄いチームに、彼ら主力の戦線離脱は大きすぎるダメージとなった。
さらに前線のカラム・ウィルソンとジョシュア・キングは、シーズン前に目論んでいたステップアップがご破算になってモチベーションが低下、昨シーズンとは別人のようなパフォーマンスに終始した。前者は8ゴール、後者は6ゴール。ともに2018-19シーズンを6点も下回り、サポーターの不評を買った。
また、アーセナル移籍が叶わなかったライアン・フレイザーも気持ちの整理がつかず、存在感が希薄だった。2018-19シーズンの7ゴール・14アシストから1ゴール・4アシストに個人データが急落。しかも、6月30日の契約満了とともにチームを離れ、残留のための努力すら拒否している。プロ失格。恥ずべき行動だ。
ボーンマスを離れる確率は高い。
今シーズンを最後に多くの選手が新天地を求めるだろう。
本稿執筆時点でネイサン・アケにはマンチェスター・シティからオファーが届いているという。選択の余地はない。
ボール奪取能力に長けたジェフェルソン・レルマ、フィリップ・ビリングに関心を示すクラブも少なくはなく、最終ラインの左サイドとセンターをこなせるロイド・ケリーは、リバプールとマンチェスター・ユナイテッドの補強ポイントに合致する。
そしてウェールズの“天才”ブルックスは、より高いレベルで通用する才能の持ち主だ。彼らがボーンマスを離れても不思議ではない。
いや、離れる確率の方が高い。