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山崎武司も「ちょっとこれはいいぞ」。
中日・岡林勇希は未来を担う存在に? 

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栗田シメイ

栗田シメイShimei Kurita

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posted2020/08/03 11:00

山崎武司も「ちょっとこれはいいぞ」。中日・岡林勇希は未来を担う存在に?<Number Web> photograph by Kyodo News

30日、広島戦でプロは初安打を放った岡林勇希。山本昌、井端ら中日のドラフト5位は後に主力となった選手が多い。

一軍デビュー、30日には初安打。

 練習試合から快音を連発すると、ファームでは主にトップバッターとして7試合連続安打を放つなど、早くもプロのボールにアジャスト。二軍では38打数12安打、3割1分6厘の高打率を残した。数字面だけではなく、その打撃内容も秀逸だ。アウトコースのボールはレフト方向、インコースは引っ張り、難しいコースはセンターへと、満遍なく安打を打ち分けている。その技術は高校レベルを遥かに越え、プロに交じっても遜色なく映った。

 7月19日には、石川に続き一軍昇格を果たしている。代打として迎えたプロ初打席ではセカンドゴロに倒れたものの、30日の広島戦でプロ初安打を放った。平田良介、アルモンテら主力に故障が相次いだ中での抜擢ではあったが、高卒外野手という壁を破りルーキーイヤーからの一軍デビューは首脳陣の期待の大きさの現れだろう。俊足を活かし、代走としても起用されるなど存在感を放ちつつある。

 また、ドラゴンズの外野陣は大島洋平、平田、アルモンテ、福田永将、井領雅貴ら30代のベテランが占め、世代交代のタイミングも迫っている。当面は二軍でプロの水に慣れさせるという育成指針だろうが、案外早い段階で岡林には多くのチャンスが訪れる可能性も充分。三拍子揃った竜のプロスペクトは、どのような過程でプロへの階段を登っていったのか――。

兄を追って、三重・菰野高校へ。

 三重県松阪市で生まれた岡林は、2つ年の離れた兄の影響で野球を始め、中学時代は地元・松阪梅村シニアで全国16強入りを果たしている。後に育成ドラフト1位で広島に入団する兄・飛翔(現在は退団)と共に県下では知られた存在だった。高校選択の際には30校を超えるスカウトを受けるなか、兄のいる菰野高校へと進学している。

 菰野高校は公立高校ながら、西勇輝(阪神)、田中法彦(広島)ら好投手をプロにも送り込むなど、近年のドラフトでもよく聞く名だ。同校で33年間、野球部の監督を務める戸田直光は、1年時の岡林の印象をこう回顧する。

「プロ注目のお兄さんの影響を強く受け、数多のオファーの中からウチを選んでくれたんですが、入部当初からバッティングには光るものがあった。体は華奢でしたがミート力に長け、実戦でもすぐ打ちそうな雰囲気を持っていた。その一方で、私は投手としての才能にも目がいきまた。ウチからも何人かプロ入りしていますが、力は西の次くらいかな。高校時代の西に近い水準に岡林はあった。本人も投手としてプロを目指したいという意識が強く、私達も投手として育ててきました。まぁ高校生で150km投げられて、キレのある高速スライダーを投げる投手はそうはいませんから」

 1年秋からチームの主力としての地位を確たるものにし、MAX153kmのストレートと高速スライダーを武器に投手としての練習に明け暮れた。

【次ページ】 野手の練習はほとんどしていない。

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