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山崎武司も「ちょっとこれはいいぞ」。
中日・岡林勇希は未来を担う存在に?
posted2020/08/03 11:00
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph by
Kyodo News
今年の中日ドラゴンズの高卒ルーキーには、シーズン前から球団内で評価が高かった選手が2人いる。1人目は3球団競合のドラフト1位の石川昂弥。もう1人が、ドラフト5位で入団した岡林勇希だ。
東邦高校時代にセンバツ優勝を果たし、高校野球界のスターだった石川に対して、甲子園出場経験のない岡林は全国的には無名といえる存在だろう。プロ入り後に投手から外野手へと転向し、本格的な野手練習を始めたのは今年のキャンプからだ。それでも仁村徹二軍監督は、ベテランや若手選手を押しのけて、岡林についてこんなコメントを残している。
「この打者(岡林)を抑えられる投手は一軍で通用する。『こちらで一番いい打者です』と一軍に推薦したい」
山崎武司も認めるタイミングの取り方。
中日OBの山崎武司氏も、キャンプ視察に訪れた際にこの2人の逸材に目を奪われたという。俊足、強肩という身体能力に加え、岡林にはバットマンとしても非凡なセンスを感じていた。
「最初に石川を見た時、これは10年に1人の素材だと確信しました。その後に岡林のバッティングを見たら、体は小さいですがバットコントロールがうまく、遠くにも飛ばせる野球センスを感じた。ちょっとこれはいいぞ、と。
コンタクトする技術もそうですが、タイミングの取り方に天才的なものを持っていて、足を高く上げても、軸足がブレずにピッチャーに向かって体が入っていく。高卒でああいう選手はあまり見たことがない。今後下半身が強くなって、体のグラつきがなくなったらもっと長打も増えてくると思いますよ」
入団前は“二刀流”も期待されたが、球団としてはあくまで将来への投資として“素材型”の評価が強かったのかもしれない。しかし、野手一本に絞った岡林が頭角を現すのは思いのほか早かった。