ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
ボクシング興行再開の現状と課題。
リング上は活況、経済的には……。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2020/07/28 11:40
木村蓮太朗のデビューなど、選手たちは明るいニュースを届けてくれている。それだけに興行の行方が心配だ。
22日、久しぶりに後楽園ホールへ。
興行再開にあたっては、メディアの数もかなり制限されることになり、水面下ではメディア側とプロモーター、日本ボクシングコミッションの間でかなりのやり取りが繰り返された。筆者も16日の興行には入れず、久しぶりに試合取材をしたのは22日の後楽園ホールだった。
記者は検温、健康管理シートに必要事項を記入して会場入り。普段はリングサイドの記者席で試合を見るが、この日は2階のバルコニー(通常は立見席として使う)から観戦。移動はトイレのみ許され、それ以外の場所に行くことは禁止された。
試合は女子4回戦と、元東洋大主将でアマ3冠、静岡県のジムから初の世界王者を目指す木村蓮太朗(駿河男児)のデビュー6回戦、そして日本スーパー・フライ級タイトルマッチの3試合だった。
出場選手、チーフセコンド、レフェリーはPCR検査をクリアしており、試合進行を担う日本ボクシングコミッションのスタッフや、リングを消毒する各ジムのスタッフはフェイスガードやビニールの防護服で完全防備。カメラマンはすべてバルコニーからの撮影だ。
試合を中継するフジテレビのカメラもリング角にやぐらを立てて、その上から撮影してディスタンスをキープした。中継席もリングサイドではなく、リングからかなり離れた南側の客席中ほどに設置された。
離れた距離からマイクでインタビュー。
試合は木村が2回TKOで初陣を飾り、メインは王者の中川健太(三迫)が指名挑戦者のユータ松尾(ワールドスポーツ)を判定で下して初防衛に成功。勝利者インタビューはリング下の客席前に設置されたマイクの前に選手がたち、フジテレビのアナウンサーが離れた距離からマイクで質問するというもの。
16日は永田の大声が静まり返った会場に響き渡ったそうだが、22日は選手とマイクの距離が遠かったのか、バルコニーからはよく聞こえなかった。
試合が終わって15分ほど待つと、メディアの代表者から連絡が入り、Zoomを使って控え室と記者のパソコンをつないで記者会見。これが22日の興行だった。