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ボクシング興行再開の現状と課題。
リング上は活況、経済的には……。 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2020/07/28 11:40

ボクシング興行再開の現状と課題。リング上は活況、経済的には……。<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

木村蓮太朗のデビューなど、選手たちは明るいニュースを届けてくれている。それだけに興行の行方が心配だ。

「次、8月は観客ありでやろうと」

 プロモーターの三迫ジム、三迫貴志会長は「無観客ということで(財政的に)苦しい中でしたけど、再開したいという気持ちで無事に開催できた。次、8月に関しては観客ありでやろうと思っています」とコメントした。

 これで徐々に客を増やし、コロナショック前の状態に戻れればいいのだが、そう簡単にことは運びそうにない。

 これまで再開された興行は無観客が基本で、客入れは新型コロナウイルスの感染者が比較的少ない沖縄だけだった。このときは3000人規模の会場に350人の観客を入れて実施。無事終了して関係者は胸をなでおろしていた。

40歳の苦労人に、スター候補も勝利。

 当初は25日、神戸市立中央体育館のイベントも少人数ながら客を入れる予定だった。ところが17日に大阪府内のジムで新型コロナウイルスの感染者が確認され、これがクラスターとなって計11人の感染が明らかになり、神戸の興行は一転、無観客で行われることになった。

 メインの東洋太平洋ライト・フライ級王座決定戦では、苦労人の40歳、元日本王者の堀川謙一(三迫)が22歳の冨田大樹(ミツキ)を下して新チャンピオンになるというニュースが流れる一方で、大阪での感染拡大を懸念して取材を取りやめた記者もいたという。

 翌26日の刈谷では、日本ライト・フライ級王座決定戦で矢吹正道(緑)が佐藤剛(角海老宝石)を1ラウンドKOで下して新王者に。矢吹はパンチが強くて、言うことがデカい、なかなかのスター候補だ。このように再開興行では、明るいニュースがいくつも提供されたのである。

 まずは安全対策をしっかり確立し、興行再開にこぎつけた関係者の努力には敬意を表したい。

【次ページ】 外国人選手は引き続き呼びづらい状況。

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