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フリーでトップのレッドブル・ホンダ。
なぜ決勝でメルセデスの後塵を!?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2020/07/13 11:50
無観客開催での、それぞれの台が離れた表彰式……顔にはマスクを着用している。ハミルトンは、うつむき右手を挙げるポーズも。
雨の予選。快晴の決勝。逆転のチャンス有り!
ところが、翌日の土曜日に行われた予選は雨。
滑りやすい路面に本来の力を出しきれないまま、予選は2番手に終わった。
迎えた日曜日、レッドブルリンクに青空が広がった。
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雨の予選では圧倒的な速さでポールポジションを獲得したライバルのルイス・ハミルトン(メルセデス)に対して、逆転のチャンスはあると思われたレースで、レッドブル・ホンダは逆にメルセデスの1-2フィニッシュを許してしまった。
「さらにあそこまで伸ばしてくるとは……」
1年前と何が違ったのか?
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、こう分析した。
「昨年のオーストリアGPは記録的な暑さによって、メルセデスはオーバーヒートに悩まされた。それによって、メルセデスは本来の実力を出せなかったのだろう。しかし、今年は違った」
2019年のヨーロッパは記録的な猛暑となり、6月30日に行われたオーストリアGPは気温33度、路面温度51度という高温下でスタートが切られた。
しかし、シュタイアーマルクGPのレース日となった今年の7月12日のレッドブルリンクは気温20℃、路面温度39℃と、いずれも10℃以上低かった。
ただし、それだけがレッドブル・ホンダの敗因ではない。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、冬のバルセロナテストでは肉薄していたメルセデスに対して、コンマ5秒ほどの差をつけられた1週間前のオーストリアGPの予選後に、こう語っていた。
「この結果は、ある意味、意外であり、また意外ではありません。なぜなら、彼らが絶え間なく開発を続けてくることは、当然予想していましたから。ただ、すでにあれだけ高い完成度を誇っていたマシンを、さらにあそこまで伸ばしてくるとは……それが、意外でした」