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クラッシュのフェルスタッペンが2位!
結果以上のものを得たハンガリーGP。
posted2020/07/20 11:40
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
レッドブル・ホンダのハンガリーGPは、スタートが切られる前から始まった。
午後2時48分。雨が上がったばかりのハンガロリンクのガレージを出てダミーグリッドに向かうためにコースを1周していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に緊急事態が発生した。コース終盤の12コーナーで濡れた路面に足を取られたフェルスタッペンがコースアウトし、タイヤバリアにクラッシュしたのである。
なんとか自力で脱出し、グリッド後方まで自走してきたフェルスタッペンに駆け寄るメカニックたち。フォーメーションラップのスタートは午後3時10分。その5分前の午後3時5分までにメカニックはマシンにタイヤを装着し、すべての作業を終えてマシンから離れなければならない。
ダミーグリッドに着いて、コクピットを降りたフェルスタッペンは、自分のマシンが負ったダメージを見て、「もうレースは終わった」と半ば諦めたという。
「12コーナー手前のブレーキングでホイールをロックさせてしまった。ブレーキペダルから足を離して、再びブレーキをかけようとしたけど、曲がりきれずにタイヤバリアに突っ込んでしまった」
「信じられないような素晴らしい仕事を……」
メカニックたちが慌ただしく作業する中、フェルスタッペンは国歌斉唱のセレモニーに参加するため、一旦、自分のグリッドを離れた。
数分後、スタートポジションである7番グリッドに戻ってきたフェルスタッペンの目に映っていたのは、信じられない光景だった。
壊れたサスペンションがほとんど修復され、作業が最終段階に突入していたのだ。
「メカニックたちが信じられないような素晴らしい仕事をしてくれ、マシンがあっという間に修復されようとしていたんだ」