熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
本田圭佑のSNSとブラジルのタブー。
サッカー選手の“概念”を変えるか?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byZUMA Press/AFLO
posted2020/07/17 15:00
ボタフォゴ移籍後もSNSで積極的な発信を見せる本田圭佑。その言動はブラジルサッカー界を驚かせている。
選手の社会的地位が伝統的に低い。
ブラジルでは、伝統的に選手の社会的地位が低かった。元来、フットボールクラブは裕福な外国人やエリート層のために設立された総合スポーツクラブの一部門であり、選手の多くは本来ならクラブに出入りできないはずの階層の出身者だったのである。
現在でもクラブ役員の多くが成功した実業家などの名士であるのに対し、選手の大半は貧困家庭出身で、若くして学業を放棄した者が多い。ソクラテスのような例外的なインテリでない限り、クラブ、州サッカー協会、ブラジルサッカー連盟などの「お偉いさん」たちがやること、彼らが決めた規則に注文を付けるなど、考えたこともないはずだ。
ところが知ってか知らずか、ブラジルで本田はこのような“タブー”を打ち破ろうとしている。
今後、彼はプレーのみならずその言動によって、日本だけでなくブラジルでも人々の意識を変え、社会とフットボールに変革や地殻変動を引き起こす存在となるかもしれない。