熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
本田圭佑のSNSとブラジルのタブー。
サッカー選手の“概念”を変えるか?
posted2020/07/17 15:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
ZUMA Press/AFLO
事の始まりは、7月5日のリオ州選手権後期の準決勝でフルミネンセと0-0で引き分けた日の夜、本田圭佑(ボタフォゴ)の自身のツイッターでの投稿(英語)だった。
「Congratulations for Fluminense and they deserved to win the game. But I feel that I have to say... a rule will have to be changed. I have never seen no extra time or no penalty in a tournament.(フルミネンセ、おめでとう。彼らは勝利に値した。しかし、僕は言わなければならないことがあると感じている……今後、[この大会の]規則は変更されるべきだ。延長もPK戦もないトーナメント戦など、見たことがない )」
これは「引き分けの場合は、(延長、PK戦は行なわず)グループステージの順位が上だったチーム(この試合の場合はフルミネンセ)が決勝へ進む」という大会規則への異論だった。
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実はグループステージの順位が上だったチームには、「州選手権の前期なり後期の準決勝は、開催地を選ぶことができる」という有利な大会規則もある。
ただ今回に限っては、この試合はボタフォゴのホームスタジアムで行なわれていた。いつもはフルミネンセがホームゲームを行なうマラカナン・スタジアムのすぐ手前に、リオ州政府が新型コロナウイルス感染者のための医療施設を設置した。そのためフルミネンセは、感染のリスクを考慮してボタフォゴのスタジアムを開催地とする、ということに同意したからである。
W杯やCLなどを経験したからこそ。
結果的にボタフォゴがホームで試合をしたとはいえ、本田は納得がいかなかったのだろう。ワールドカップ、欧州チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグなどの代表的なノックアウトステージの試合形式を思い浮かべたに違いない。グループステージでの順位によってそれほどのアドバンテージが与えられるのであれば、せめて引き分けの場合には延長やPK戦があってしかるべきと考えたのではないか。
結局、この本田の投稿には、7600を超える「いいね!」と500近いリツイートが寄せられた。その多くは、ブラジル人からだった。
そしてこの本田の発言に対しては、ある種の傲慢さを感じるという日本の一部メディアの報道があった。