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欧州が本場のカヌーで「日本」に
こだわり五輪代表を掴んだ足立和也。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYMN
posted2020/07/11 08:30
スラロームは、ゴールまでのタイムと、ポールで設けられた各ゲートへの接触や不通過によって加算されるペナルティータイムを合計して勝敗が決定する。
リオ五輪出場がかなわなかった。
だが、再び、いやさらに大きな挫折が待ち受けていた。2016年のリオデジャネイロ五輪出場がかなわなかったのである。
「自分の人生をかけてリオに向かっていたので、言葉では表せないくらいの衝撃というか悔しさを通り越して何も考えられなかったですね」
1カ月、何も考えられなかった。
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やめよう、という思いがよぎることもあった。ただただ、失意に沈んだ。
それでも時間が救ってくれた。少しずつ前を向けるようになり、そして明確に進むためのきっかけが訪れた。リオで羽根田卓也がスラロームカナディアンシングルで、カヌーでは日本選手として初めての表彰台となる銅メダルを獲得したことだ。
「もう一度火がつきましたね。うれしい思いと、悔しい思いもすごくあった。日本初のメダルを先にやられたので」
国内で練習に打ち込み続ける。
気持ちを取り戻すと、その年の秋、ワールドカップで銅メダルを獲得した。カヤックでは日本初のことだった。
「目標としていたリオが過ぎて、リラックスした状態で臨めていました。オリンピックに向けて技術の完成も目指していたので、それまで築いていたものが出た結果でもあるように思います」
2017年のワールドカップの大会でも再び銅メダルを獲得。リオ前からの、長年の取り組みもあり、着実に階段を上がり始めた。
そんな足立には、彼ならではの特色がある。「日本へのこだわり」だ。
カヌーは本場であるヨーロッパを拠点にする選手が少なくない中、今日に至るまで国内で練習に打ち込み続ける。
「日本でも世界と戦っていけるというのを見せたかったし、現在では日本でトレーニングしていても戦える道筋は見えてきています。だから日本にこだわっています」