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欧州が本場のカヌーで「日本」に
こだわり五輪代表を掴んだ足立和也。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byYMN

posted2020/07/11 08:30

欧州が本場のカヌーで「日本」にこだわり五輪代表を掴んだ足立和也。<Number Web> photograph by YMN

スラロームは、ゴールまでのタイムと、ポールで設けられた各ゲートへの接触や不通過によって加算されるペナルティータイムを合計して勝敗が決定する。

「いちばん自由であるときだと感じます」

 海外メーカーのものを使用する選手ばかりの中、ボートも日本製だ。F1、ル・マンなどモータースポーツの車体に携わってきたムーンクラフト社に依頼し、製造してもらっている。

「1つには、海外のメーカーに自分たちの技術やアイデアが持っていかれる、ばれてしまうという懸念。

 もう1つは、ほんとうに細かい部分で僕は要求を出すので、英語より日本語のほうが伝えることができるという点です。車のレースをやっている会社なので、(カヌーの)レースをほんとうによく分かってくれます」

 それもまた、自らの意志で歩み、考えてきた足立ならではだ。

 長年打ち込んできたカヌーは今なお、「面白い」と言う。

「乗っているときは、いちばん自分が解放されているときだと思います。レースのときもトレーニングのときも、いちばん自由であるときだと感じます」

「いちばん高いところに上りたいですね」

 人生をかけて打ち込んできた競技の魅力をこう語る。

「迫力のある流れ、こんなところを下るんですか? というところの技術、迫力。その中で選手たちの表情も見てもらえると選手冥利につきます。真剣にやっているからこその表情を見てほしいです」

 念願のオリンピックは、1年延期となった。

「中止、延期、そのまま開催、いろいろな選択肢があった中で、いちばんいやな選択肢ではなかったのでうれしく思いました。1年間空いたことでより高いパフォーマンスをお見せできるんじゃないかと思います」

 時期はずれても、目指す場所は変わらない。

「ずっと日本にこだわってやってきているので、日本でのオリンピックで、いちばん高いところに上りたいですね」

 ときに挫折を味わいながら、明確な意志とともに歩んできたその視線にぶれはない。

足立和也(アダチ カズヤ)

1990年10月生まれ。神奈川県出身。3歳でカヌーを初経験。世代別日本代表選手に選出される。日本選手権3連覇。2014年、アジア大会優勝。'16年、日本人で初となるワールドカップ決勝進出。'19年NHK杯兼日本代表選手権大会で4位入賞し、東京五輪代表選手に内定した。今年5月、自身のYouTubeチャンネル「足立和也の『東京五輪へ真っ直ぐ!』」を開設した。
「足立和也の『東京五輪へ真っ直ぐ!』」
https://www.youtube.com/channel/UC8URkQpecxxqDAYPa1n3SNw

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