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イニエスタ不在時の神戸が問われる
“密集”攻略。ヒントは高徳の……。
posted2020/07/08 11:45
text by
白井邦彦Kunihiko Shirai
photograph by
J.LEAGUE
4カ月という長いブランクを理由にするには、あまりにも課題が共通している。ヴィッセル神戸が、引いた相手を崩せない現状の話である。
J1再開の初戦である7月4日のサンフレッチェ広島戦でも、2月のJ1開幕戦の横浜FC戦と同じく、リトリートしてブロックを組まれると攻めあぐねた。
決定機を作れなかったと言っているわけではない。横浜FC戦では相手より10本も多い14本のシュートを放ち、広島戦でも8本上回っている(計17本)。しかも、半数以上が枠内シュート。決定機はむしろ、作れていたと言っていい。
ただ、2試合で計31本のシュートを放って得点はわずか1。ひねくれた見方をすれば、やはり密集を攻略できていないと見ることもできる。
打ち合いになると神戸は強いが。
この2試合の共通項は、まず相手に先制点を許している点だ。横浜FC戦では24分に決められ、相手に「割り切って守備」(横浜FC・下平隆宏監督)をさせるシチュエーションを作ってしまった。広島戦では35分に試合の流れとは無関係なセットプレーで失点し、前がかりになった後半に追加点を許している。先制され、うまく試合を運ばれてしまった。
逆に、打ち合いになると神戸は強い。
2月の富士ゼロックススーパーカップ横浜F・マリノス戦では18本のシュートを浴びながらも3-3のドローに持ち込み、PK戦の末に勝利している。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ第2戦の水原三星戦ではシュート数10対11という熾烈な打ち合いを1-0で制した。
そして、このACL水原戦のゴールシーンには引いた相手を崩すヒントが隠れている。