福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が語るサッカーの“音と声”。
的確に声掛けしてくれた選手は誰?
posted2020/07/11 09:00
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
J.LEAGUE
<Jリーグは6月27日にJ2再開&J3開幕、7月4日にJ1が再開した。8日のJ1第3節までの期間はリモートマッチとして観客を入れない試合開催となった中で、話題となったのは「選手たちの声」だった。普段は聞こえない音を聞いて新鮮に感じた人は多かったと思うが、解説者の福西崇史氏に「サッカーにおける音、声」について聞いてみた。>
J1再開節、自分は川崎フロンターレvs.鹿島アントラーズの解説を担当しました。
テレビでリモート観戦した皆さんに、サッカーの試合中にはこんなにも「声」が飛び交っているんだと分かってもらえたのでは、と思います。専用球技場だとピッチやベンチとの距離がより近いので、さらに様々な音が聞こえるでしょうね。会場の音だけを拾った副音声を確認しましたが「これはすごい! サッカーの迫力が伝わっていいよね」と自分も思ったほどです。
接触の音、キックの音、クロスバーの音。
普段はファンやサポーターの歓声などで聞こえません。レフリーに対してのファールのアピール、選手同士での要求やお互いの主張のぶつけ合い、ベンチから飛ぶ指示……など、選手やチームスタッフがどんな思いや意図をもってプレーしているかがハッキリと分かりますよね。
あと、選手同士が激しく接触した際の「グシャッ!」、ボールを芯でとらえたキックの「ボフッ!」、シュートがクロスバーを直撃した「カーン!」という金属音を耳にしたかとも思います。それだけ球際の競り合いは激しいし、ミートしたシュートの威力も凄い。ファールを受けた時、ボールが当たった瞬間の痛さは想像してもらいやすくなったかもしれませんね(笑)。それでも試合中はアドレナリンが出ているから、痛みを忘れて全力でプレーしていることも知ってほしいな、と思います。