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女子ゴルフ開幕戦のYouTube配信。
5日間677万3987回再生はすごい?

posted2020/07/08 20:00

 
女子ゴルフ開幕戦のYouTube配信。5日間677万3987回再生はすごい?<Number Web> photograph by Atsushi Tomura/Getty Images

テレビ中継ではなく、インターネット中継となった開幕戦。渡邉彩香が優勝を決めたプレーオフでは24万以上の接続台数を記録した。

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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Atsushi Tomura/Getty Images

 パソコンの画面で、あるいはタブレットやスマートフォンで、どれほどの人の心が動いたことだろう。世はスポーツの無観客時代。コロナ禍におけるメディアは、ファンが思いを分かち合うツールとしての重要性を高めている。

 2020年の日本女子ツアーが3カ月半遅れで開幕戦を行った。千葉県でのアース・モンダミンカップは場内に入る人数を限りなく制限し、ギャラリーなしで開催。日曜日が大雨により最終ラウンドが順延され、同ツアーでは23年ぶりに翌月曜日に決着した。渡邉彩香の復活優勝で締めくくられたゲームは、従来のテレビ中継ではなくYouTubeを介したインターネット放送でお茶の間(だけではないところがネット放送の利点でもある)に届けられた。

 発表では計4チャンネルの5日間の総再生回数はのべ677万3987回。チャンネルを1つにして放映された最終日は約132万回、優勝が決まるプレーオフの時間帯は、同時接続台数として24万以上が表示されていた。

 試合後、JLPGAはネット放送への手応えを示した。全4ラウンド、最初の組がティオフしてから最後の組がホールアウトするまで放送する芸当は、編成面で従来のテレビ中継ではとてもできたものではない。リアルタイムでいつでも、どこでも。さらに言えば、映像の権利元が許す限り、試合後好きな時にアーカイブを見返すこともできるのも利点のひとつだろう。

 ただし、上記に羅列した数値をどう判断すればいいのか、いまひとつ解釈できないでいる。スゴイのか、スゴくないのか。これまでの事例との比較、検証をしなくてはならない。

2000年東建ホームメイトカップが初。

 歴史を紐解くと、日本でのゴルフ中継のインターネット放送はなにも今回が初めてではない。古くは2000年、世はまだガラケー全盛時代に男子ツアーの東建ホームメイトカップ(当時は東建コーポレーションカップ)で初めて実施されたという記録がある。YouTubeの設立が'05年、Googleによる買収が'06年、アップルの初代iPhone発売が'07年……という、現在では当たり前のプラットフォームとデバイス開発以前の話。当時の視聴手段は大会ホームページを通じたパソコンだけだった。

 本格化したのはそれから10数年後。とりわけ国内女子ツアーで2013年に始まったTポイントレディスのネット中継は異色の存在として名を馳せてきた。テストケースとして前年大会でひそかに関係者のみによる放送、視聴を行い、本戦での実施にこぎつけた。一躍注目されたのが'15年大会。飯島茜が全美貞を下した6ホール、約2時間に及ぶプレーオフは、テレビ放送の枠に収まらずネットで生中継され、同時接続台数は6万7000以上にのぼった。3日間合計の総視聴回数は145万回。18年には同177万回に到達した。

【次ページ】 比較すると、飛びぬけた数字ではある。

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