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NBA再開へ、懸念は「メンタル」。
ウイルスと同等に重きを置く対策。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byJason Miller/Getty Images

posted2020/07/03 11:30

NBA再開へ、懸念は「メンタル」。ウイルスと同等に重きを置く対策。<Number Web> photograph by Jason Miller/Getty Images

2年前、鬱を公表したデマー・デローザン(スパーズ)。彼らの発言によって選手のメンタルヘルスの重要性が見直されてきた。

懸念されるメンタル面のケア。

 シルバーが“犠牲”と言ったのは、安全にシーズンを再開し、最後までおわらせるためには、選手やコーチ、スタッフが隔離された中の、様々な制限をされた環境で過ごさなくてはいけないからだ。

 そういった環境内で、リーグやチームがウイルス感染や故障と同じぐらい懸念しているのは、選手たちのメンタルヘルスだ。

 隔離された“バブル”内での生活は、習慣を大切にする選手たちにとって思うようにいかないことばかりになる。試合時間や練習時間も変則的で、いつも当たり前のようにやっているルーティンを行えない状況もあるだろう。敷地内での行動には多くの制限があり、かといって、敷地外に出て気分転換することもできない。敷地内の人数を制限するために、8月末までは家族や恋人に会うことすらできない。コロナ禍のなかで、離れて暮らす家族や大切な人の安全を不安に思う選手も多いだろう。

 ただでさえ競争が激しいNBAの中での生存競争だけに、選手によってはメンタル面での安定を保つことが難しい世界だ。トッププレイヤーたちは強いメンタルを持っていて当たり前と思う人もいるかもしれない。実際、少し前まではNBAでもメンタルヘルスの問題を語ることはタブー視されていたところがあった。

 しかし、どれだけバスケットボールがうまく、どれだけ強い身体を持っていても、選手たちは人間なのだ。

2年前、鬱を公表したデローザン。

 そんな当たり前のことをわからせてくれたのは、デマー・デローザン(サンアントニオ・スパーズ)やケビン・ラブ(クリーブランド・キャバリアーズ)など、一線でプレーしている選手たちが自分のメンタルヘルスの問題を公に語り始めたことだった。

 2年前、デローザンが鬱と戦っていることを公表すると、それを聞いたラブも、自分が試合中にパニック発作を起こした経験を明かした。2人とも、公表することで、同じようにメンタルヘルスに悩む人たちが公の場で悩みを話しやすい環境を作りたいと語っている。実際、それぞれのチームとしても、以前より本格的にメンタルヘルスに取り組むようになってきている。

 そんな中でのコロナ禍だった。

【次ページ】 再開プランを記すハンドブックにも。

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