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NBA再開へ、懸念は「メンタル」。
ウイルスと同等に重きを置く対策。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byJason Miller/Getty Images
posted2020/07/03 11:30
2年前、鬱を公表したデマー・デローザン(スパーズ)。彼らの発言によって選手のメンタルヘルスの重要性が見直されてきた。
支えるだけでなく、楽しめる環境を。
ウィザーズは若い選手の多いチームだが、対照的にベテラン選手の多いチームでも、選手のメンタルヘルスは同じように重要な課題だ。
たとえば、優勝候補としてあげられているロサンゼルス・レイカーズ。予想されるように勝ち抜いていけば隔離期間が最長で3カ月になるため、メンタル面への対応は無視できない問題だ。ロブ・ペリンカGMも、長期間、隔離されたなかで過ごすことで、選手にとっては身体面以上にメンタル面の負担が大きくなるだろうと語る。
「選手にとって、身体的に大変なのと同じように、メンタル面でも負担を負うことになる。むしろメンタルのほうが厳しいと言えるかもしれない。長期間家族から離れ、長い間、自分のホームではない町に暮らさなくてはいけない。その懸念に対してチームとしてどう対応するのか。今、メンタルウェルネス担当者がそのプロトコルを作成しているところだ」
ヘッドコーチのフランク・ボーゲルも、大きな犠牲を払って再開シーズンに参加している選手たちのメンタル面にどうアプローチするかは大事だと言い、「単に支えるだけでなく、選手たちが楽しめるような状況を作ることも重要になってくる」と語る。
メンタルヘルス、ウイルス、故障。選手たちは、コートに立つ前から様々な強敵と対峙する。それだけに、リーグ中の選手やコーチたちは、これまで経験したことがないような厳しい戦いになると、口をそろえる。
昨季MVPのヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)は、そういった選手たちの気持ちを代表するかのように言った。
「多くの人が、今年の優勝は(変則的なシーズンでいつものような価値がないという意味で)星印がつくと言っているけれど、実際には最も難しい優勝になると思う。それだけ、本当に大変な状況のなかで戦うことになるからね」
シーズンはアメリカ時間7月30日に再開する。