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NBA再開へ、懸念は「メンタル」。
ウイルスと同等に重きを置く対策。
posted2020/07/03 11:30
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Jason Miller/Getty Images
7月に入り、NBAシーズン再開に参加する22チームの公式ワークアウトが始まった。今はまだ各練習場で個人ワークアウトが行われている段階だが、7月7~9日にフロリダ州のディズニーワールド・リゾート内にあるESPNワイド・ワールド・オブ・スポーツ・コンプレックスに移動し、48時間の隔離期間後にチーム練習がスタートする。
すでに選手、コーチ、スタッフの新型コロナウイルス検査が始まっており、初日の6月23日に検査を受けた選手302人中16人の感染が判明したことも発表になった。もっとも、これは計画の想定内だ。約5%の感染率は、同じくシーズン再開に向けて動き始めているNHL選手の感染率や、アメリカの同じ年齢枠での感染率とほぼ同じぐらいの数字。
6月26日に共同電話会見を行ったNBAコミッショナーのアダム・シルバーと、NBA選手会事務局長のミシェル・ロバーツも予想範囲の感染率だったことで、口をそろえて「安心した」と語った。感染している16人の選手に重い症状がなく、回復すればチームに合流できる。
ディズニーワールド周辺の地域では感染者数が増加傾向にあるが、現時点ではシーズン再開は計画通りに進められるという。
「キャンパスのほうが安全」
「最終的には、外の世界よりも、キャンパスのほうが安全だと信じている」とシルバー。“キャンパス”というのは、シーズン開催のための隔離地区に対するシルバーの呼び方だ。外から通ってくるディズニーのスタッフに検査が行われないことが不安視されていたが、状況を見ながら必要と思える場合は検査対象を増やすなどの対応策を取っていくことを検討していることも明かした。予測できないウイルスが相手だけに、柔軟な対応力が試される。
シルバーはそのうえで、「これは決していつも通りではないし、シーズンの終え方として理想的なやり方ではない。関係する人たちの多くの犠牲が必要だ」とも認めている。