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DeNA濱口遥大の変化と大事な幹。
今永昇太と並ぶ先発ローテの軸に。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byAsami Enomoto
posted2020/06/08 11:30
昨季は17試合で6勝5敗、防御率3.17だった。ルーキーだった2017年以来の2桁勝利を目指したい。
再びフォークを使う意図。
「調子が悪いとき速スラに頼りすぎてしまうと、真っすぐの回転軸が斜めになることがデータで出ていたんです。リリースの感覚が変わってくると出やすくなる。そこは気をつけなければいけないところですね」
そこで、濱口が今シーズンから使おうと考えているのがフォークだ。新たに習得するというわけではなく、一昨年まで使っていた変化球である。昨季は速スラが効果的だったのでフォークを投げる必要はなかったというが、再び使おうと思ったその意図とは何だろうか。
「速スラを投げることによって左打者に対しての数字は良くなってはいますが、どうしても踏み込まれることが多くなってきたんです。そこでもうひとつ速い変化球が欲しいなって。右打者にスライダーを投げるのと同じように左バッターにフォークを投げる。チェンジアップも含め、落ち幅にまで緩急をつけてバットを振らせたいなと思ったんです」
常に自分を変えていく意識。
現状に甘んじることなく、常に進化を遂げること。ストレートに加え縦の変化球がベースだったデビュー当時とはずいぶん投球内容が変わってきた。過去2年、壁にぶつかったからこそ気づかされたこともあると濱口は言う。
「常に自分を変えていくという意識は持たなければいけない。プロ野球にかぎらず、アスリートは常に上達しようと考えています。ただ、バランスが肝心で、変えな過ぎてもいけないし、逆にここは変えてはいけないという“幹”も持たなければいけない。そのことは木塚(敦志)コーチをはじめピッチングスタッフの方々から常に言われていることなので」
変わる、という意識に関し『ドライブラインベースボール』も一役買っているという。現在も現地のスタッフと連絡を取り合いながらアドバイスを求めている。一過性の出会いで終わらせることなく、継続こそが己の身となるというわけだ。
「先方に『こういう風に曲げたい、落としたい』といった自分の感覚を伝えて、返事をいただいています。球速も含めてあらゆるパターンを自分で試しながら、理想のボールが投げられるように。実践しながら自分の引き出しを増やしていければいいなって」
また体のケアやコンディショニングにおいても同様に助言をもらっているといい、当然それらの効果を発揮するのは今シーズンであるのは間違いない。冒頭でも述べたように、濱口が今永と並ぶ軸になれれば、120試合を終えたとき歓喜の日がやってくる可能性は高まるはずだ。