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長谷川唯がコロナ禍の中で見出した、
なわとびとサッカーの共通点って?
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySports Graphic Number
posted2020/06/04 20:00
リフティングしながら大なわに挑む長谷川唯選手。SNS上では物凄い反響!(日テレ・東京ヴェルディベレーザ長谷川唯選手Twitterより)
長谷川の技に隠れたなわとびの力。
冒頭でも触れた“大なわとび”動画は、チームメートが回すなわとびに対して長谷川らがリフティングしながら跳んでいくスゴ技だが、戸田さんはこの運動についてこんな風に絶賛していた。
「先ほど説明した通り、なわとび自体が複合的な運動なのですが、大なわの中でのリフティング、これがまさしく調整力の最たるものだと考えています。大なわを跳ぶだけ、リフティングするだけであれば、慣れていくうちに自然とできるようになると思うんです。でも“縄に駆け込んでいきながら”、“仲間の回す縄に合わせて跳びながら”、“縄の外に出ながら”正確な動きをするのはとても難しいんです」
考えてみればサッカーは「走りこみながら浮き球をトラップする」、「周囲の視野を保ちつつドリブルする」など、さまざまな動作にあふれている。もちろん実戦に近い練習環境で磨くのが理想形だが、こんな形で楽しみながら調整力を高めるというアプローチがあってもいいのかもしれない。
大事なことは、サッカーでも同じ。
ちなみに“長谷川流なわとびリフティングのコツ”を聞いてみると「人それぞれだと思うんですが」との前置きをしてから、こう教えてくれた。
「動画を送ってくださった方はきれいにリフティングしているんですが、自分の場合は普通のリフティングよりもボールに前回転がかかっています。リフティングって大体バックスピンになることが多いですよね? ただ自分はそれだとうまくいかなくて、トップスピンになるようなフォームの方が跳びやすいと感じたんです。ボールの手前をすくう、すらせるように上げるんです。
実際にプレーする中で上手くいかないとき、修正していくのはサッカーでも同じだと思うんです。そういう意味では共通点を見出しました。失敗してもたくさんやってみて、自分が一番やりやすい形を見つけると面白いと思います」
確かに動画を凝視すると、ボールの回転が前にかかっている。こんなところで彼女の持ち味であるボールコントロールの巧みさ、そして修正能力の高さに気づかされるとは思ってもみなかった。