熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
シャムスカは今もトリニータを愛す。
西川、森重、清武にファンとの逸話。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byPericles Chamusca
posted2020/05/22 11:40
大分トリニータ、ジュビロ磐田で監督を務めたシャムスカ氏(右)。現在はサウジアラビアで指導者キャリアを積み上げている。
カタール、サウジともに難敵だ。
――2019年アジアカップで、日本はラウンド・オブ16でサウジアラビアを1-0で下したものの、決勝でカタールに1-3と完敗を喫しました。
「サウジアラビアは敗れたが、試合内容は互角かそれ以上。日本の最大の長所はコレクティブに戦えることだが、個の能力ではサウジアラビアの方が上だった。カタールは、2022年W杯を開催することによる効果が顕著だ。積極性と個人能力の高さで日本を圧倒した。
現在行なわれている2022年W杯アジア2次予選で、カタールはグループ首位でサウジアラビアはグループ2位。もし最終予選で日本がこの両国と対戦するようなら、大いに警戒しなければならない」
――日本サッカーの強みと課題をどう考えてますか?
「最大の特長は、組織力とチームワーク。技術、フィジカル面も年々上がっている。選手の多くが欧州でプレーしており、国際経験も豊富だ。
一方で課題は、1人で試合を決めることができる傑出した選手が少ないこと。そして、2018年W杯のベルギー戦で露呈したように、試合運びがまだ拙いこと。クラブでも代表でも、日本人選手は試合の状況に応じて戦い方を変えるのが苦手だ。フットボールIQをさらに高める必要がある」
生涯忘れられない大分の思い出。
――日本のファンへのメッセージをお願いします。
「トリニータの監督在任中、いつも非常に熱心に応援していただいた。
2009年末に日本を離れるとき、大分空港で、さらには乗り換えの羽田空港でもシャムスカ・コールをして別れを惜しんでくれた。これには本当に感激したし、一緒にいた妻は涙ぐんでいた。生涯忘れられない思い出だ。また、今でもメッセージを送ってくれる人が大勢いる。
いつも応援していただいて、本当にありがとうございます。
サウジアラビア、ブラジルと日本は離れていますが、いつも日本での素晴らしい日々のことを思い出します。またいつかお会いしましょう!」
監督生活27年目。ブラジル、日本、カタール、UAEに次ぐ5つ目の国で延べ30チーム目のクラブを率いるこの男は大分時代と同様、若々しく精悍な表情を浮かべ、燃えたぎるような情熱を傾けて、闘い続けている。